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Pokemon QuestⅢ:砂漠の魔獣2~The Mystic Moonray~② 【2008/01/02 00:00】
第二話:ナナシの実(前編)
>>はじめから

見上げたその木には、直径5センチぐらいの丸い木の実が実っていた。形はリンゴにも似ていたが、その色は黄色で、緑色の斑点模様が付いていた。

どこからか風が吹くと、その実はゆらゆらと楽しげに揺れた。それはまるで、笑う赤ん坊を見ているようだと、コガラシは思った。

「・・・ナナシの実か。へえぇ、流石キノガッサ王の国。こんなんまであるとは・・・」

彼の前に座っている、キホーテが答えた。彼らは、ロシナンテの背中の上で揺られながら、キホーテの商品の取引先を回っているところだった。今朝はもう既に2軒回り終え、今から3軒目へと向かっていた。その、道の途中のことである。

「ナナシの実・・・で、ござんすか?」

「あぁ。皮は硬いが、中身はジューシィ。リンゴなんかよりもよっぽど硬くて、シャリッとした歯ごたえと、キリッとした酸っぱさが特徴や。普通は乾燥した砂漠でなんか、絶対栽培できへん木の実やのにな・・・やっぱそんだけ、この国が潤っとるいうことやろうな」

「へぇ・・・何か、お月様のようでござんすね」

その言葉に、キホーテは一瞬、怪訝な顔をしてみせたのだが、

「月ぃ?そうかぁ?・・・あぁ、まぁ確かに、あの緑の斑点が無かったら、そう見えんこともないな・・・」

ふと、そのとき彼女はあることを思い出した。

「そう言えば・・・三日月祭の日って、明後日やなかったかな?」

「三日月祭・・・?お祭り、でござんすか?」

「あぁ、そうや。この砂漠では、どこの国でも行なわれる祭りや。月に一度、三日月の光のもとに集い、砂漠の平和を祈って行なわれる祭りやけど・・・」

そこで彼女は、言葉を曇らす。

「・・・まぁ、最近は戦争やから、どこもやってへんけどな」

「・・・そう、でござんすか・・・」

祭りと聞いて一瞬浮き足立ったコガラシも、その一言でしゅんと沈んでしまった。

けれどそのとき、ロシナンテが口を挟んだ。

「・・・いや、ご主人。まだ戦争に参戦していないこの国なら、ひょっとしたら久々に祭りが見れるかもしれないぞ」

「・・・ホ、ホンマかぁっ・・・!?」

ぱっと花が咲くように、キホーテは笑顔になる。

「・・・あぁ、まぁなんとなくなのだが・・・さっきから、ポフィンを焼く匂いがするんだ」

ポフィン・・・?言われてみれば、キホーテの鼻にも、祭りのときに皆で食べる特別なお菓子の香りが届いた。どこから漂ってくるのだろうか、そう思うと、一向は街の広場に指しかかろうとしていた。そこは、キホーテが嘗て噂で聞いたことがある、巨大な噴水のある美しい広場だ。

「・・・あっ、テントや!・・・皆、テントみたいなん建ててんで!」

キホーテがわくわくした声を上げる。そう、そこでは確かに、祭りの準備が行なわれていた。まだ当日になるまで2日も猶予があるというのに、物凄い張り切りようだ。それは、キホーテが今まで見てきたどの国よりも、盛大なものになりそうな予感がした。

「・・・よかったでござんすね、キホーテさん!」

喜んでそう言ったコガラシに、キホーテは応えてこう言う。

「・・・あぁ、これは儲けるチャンスやで!ワイらも、出店出さな!出店!」

・・・あらっ。喜ぶ観点は、所詮商売にあったようで・・・少し呆れ顔になってしまうコガラシであった。

「・・・にしても、こうポフィンの匂いが漂ってくると・・・腹へってきぃひんか?」

「あぁ、それもそうだな。もう、昼も過ぎたしな」

と、キホーテとロシナンテの会話に釣られて、コガラシのお腹も、ぐうっと小さな音を立てた。ハッとしてキホーテの方を向いたが、どうやら会話は今ので終わっていたようだった。

・・・やっぱり、次の仕事が終わらないと、ご飯にはならないようである。朝から働き尽くしではらぺこのコガラシは、ちょっぴりがっかりした。でも、我慢しなければ。折角、働かせて貰っている身なのだから。そう思って、ここは何も言わずにしておくことにしたのだった。

けれど、見上げるとやはりその広場にも、まん丸のナナシの実がなった木が立っているのだった。おいしそうだな・・・そう思って零れ落ちるよだれを、コガラシは慌てて翼で拭った。

そのときまた、彼のお腹は可愛い音を立てた。その音がキホーテの耳には届かなかったのが、幸いだった。


「・・・っと、ここで間違いあらへんのやな、そうやな・・・!」

キホーテは、さっきから三回ぐらい同じことを言っている。コガラシは、もう一度だけ地図を見て、

「・・・は、はい。地図の通りだったら、間違いない筈でござんす・・・」

その回答にいい加減イライラして、キホーテはコガラシの手から地図をバッと奪った。キホーテがギルドから貰っていたその地図には、どこにも、この眼前にそそり上がる何段もの階段は描かれてなかった・・・まるでどこかの修道寺のように、その階段は続いていた。そしてその頂上に、立派なお屋敷が、どんと構えていたのであった。

この国で、国王の城の次に高い建物ということだったが、まさか入り口までの高さが高いのだとは思いもよらなかった。しかもその幅も、大分狭いときている。ロシナンテで登っていくのは無理だ。あんなとこまで自分の足で荷物を運び出すのかと思うと、キホーテはげんなりしてしまった。

「・・・あ、あのう・・・もしよかったら、荷物だけならあっしが嘴に銜えて、飛んで運ぶでござんすよ・・・?」

と、コガラシのそんな提案に、キホーテはきらんと目を輝かせた。

「・・・おお!ホンマか!じゃあ、頼んだろーかいな!」

が、そう言って袋の紐を銜えさせられると、袋はずっしりと重たかった。なんとかひとりで運べないこともないだろうが・・・何だ、この重さは!?

「世界の貴重なお香入れがぎょうさん入っとるからな。落とさんよう、しっかり頼むで」

「・・・ちょ、ちょっとご主人!いくらなんでも、そいつは無茶だろう!」

ロシナンテに言われ、キホーテはケラケラ笑った。

「・・・なんてな、冗談や!まぁ、無理せんでええって。どうせ重いねんから。ふたりで一緒に運んだったろ、な?」

「・・・むぎぎ・・・だ、大丈夫でござんす・・・頑張るでござんす・・・!」

が、コガラシはキホーテの言うことを聞かず、そのまま階段の先へ飛んでいってしまったのだった。

キホーテは、思わずロシナンテと顔を見合わせた。

「あいつ、何あんなに張り切っとるん・・・?」

「・・・さ、さぁ・・・」


「あーら、お待ちしていたザマスよ!」

息を切らしているコガラシからのバトンパスで荷物を抱えながら、キホーテは屋敷の婦人と挨拶を交わした。鋼の体だけでも妙にぎらぎらと眩しい上に、宝石や金のネックレスまでじゃらじゃらと着飾っている、少しけばけばしい感じのエアームドだ。屋敷の中も、立派な絵画やら壺やらが、まるで美術展でも開いているかのようにわんさか並べられ、よほど成金趣味であることが窺える。

「・・・えぇと、毎度おおきに。ニャース行商ギルドの、キホーテいいます。ご注文の“うしおのおこう”“おはなのおこう”、 “がんせきおこう”、“きよめのおこう”、“こううんのおこう”、“さざなみのおこう”、“のんきのおこう”、“まんぷくおこう” 、“あやしいおこう”と・・・一式お持ちいたしました」

・・・と、今初めて注文の品物の数を聞き、改めてショックを受けるコガラシであった。

「まぁまぁ、それは重かったザマしょ!さぁさぁ、どうぞこちらの椅子におかけになって!お茶でも、一杯ご馳走するザマスわ!」

「・・・あ、お構いなく。勘定してもろうたら、すぐ帰りますんで・・・」

「いえいえ、折角ザマすから!ホラ、そちらの可愛らしいヤミカラスさんもどうぞ!」

エアームドの押しの強さに負け、キホーテらは、高級レストランに置いてあるような豪華なテーブルに座らせられた。婦人は、メイドのコダックをお茶を淹れに向かわせ、自分は行商らの前の席へ座った。キホーテは屋敷の中をキョロキョロ見回り、コガラシは相変わらず呆けたような顔をしていた。

「・・・いやぁ、助かったザマすわ!最初は主人のシュミでこのように世界中の貴重な品々を集めていたんザマすが、見ているウチに私まで興味を持ってしまって!・・・それで今、ちょうど世界のお香入れにハマってるところだったんザマスの。そしたらまさか、ニャースさんたちのギルドで全品扱ってるなんて!・・・もう私、最初に注文を入れたとき、心臓が止まるかと思ったんザマス!」

・・・話の内容はどうあれ、キンキンと煩い喋り方だ。・・・しもた、もしかしたらこのオバハン、ワイの一番嫌いなタイプのポケモンかもしれへんな・・・無理にでも断って、さっさと仕事済ませて帰るべきやったか・・・?心の中でそう思うキホーテだった。

「・・・おっと、ついオシャベリしてしまうところだったザマス。では、品物を戴くことにとにするザマス」

と、いきなり話題を変えられてややびっくりしてしまったキホーテだが、すぐにテーブルの上に、品物が入った袋をドサリと置いた。婦人はその中から、注文の品々を取り出す。出てくる、出てくる。運んできたコガラシを苦しめた貴重品の数々が、ようやく目の前に姿を現した。彼の目には悪意としか感じられないようなその一つ一つを、しかしエアームド婦人は、手にとってうっとりとした表情になっている。

「・・・確かに、確認したザマス・・・あぁ、これで私のお香コレクションの完成ザマス・・・」

「さいでっか。じゃあ、会計の方を・・・」

なんとなくほっとして帳簿を出そうとしたキホーテだったが、婦人はいきなりそれを制すと、困ったような声を作って、こう言った。

「・・・申し訳ないザマスが、ちょっとその前に言っておきたいことがあるんザマス・・・以前、お宅のギルドから戴いた品物のいくつかなんザマスが・・・」

それを聞いて、キホーテはぎくっとした。クレームかと思ったからだ。

「な、何か不良品でもあったんでっか・・・?」

「いえ、そういうわけではないんザマスが・・・」

クレームじゃないとしたら何だ!?品物の返品か!!・・・キホーテは、大分ブルーな気持ちになっていった。商売人として、客に、一番やって欲しくないことだ・・・けれども、決して嫌な顔はできないことである。

「あちらの棚の商品ザマスの。ちょっと、どうしても私たちの屋敷にに合ってないような気がすると、主人から言われてしまって・・・」

その棚の中身を見て、キホーテは愕然となった。そこには、“ほのおのいし”、“かみなりのいし”、“たいようのいし”、並びに、“しめったいわ”、“あついいわ”など、世界のありとあらゆる貴重な岩石の類が、ぎっしりと並べられていたのである。それらは、今日持ってきたお香一式の価値と殆ど変わらない。いや、ひょっとしたら量が多い分、あちらの方が高価かもしれない・・・。

「返品・・・なんて、できないザマスよね?そうザマスよね?」

酷く申し訳無さそうに、エアームドは訊いてくる。当たり前やオバハン!このボケ!危うくそう言い放ってしまいそうになったところを、キホーテはグッと堪えた。ここでNOと言った時の客の対応がどんなものか、キホーテには分かっていた。特に、こんな着飾っているような婦人は、往々にして裏表が激しいというものである。

「・・・あ、はい。ええです、ええです、受け付けますよ・・・せやったら、料金は差し引き、いうことで・・・」

婦人の顔が、ぱっと笑顔になる。その一方でぎょっとしてみせたのは、コガラシだった。

「・・・ちょ、ちょっと待っておくんなせぇ、キホーテさん!来る時もこんな大荷物抱えてきたのに、帰るときもまたあんなの・・・!?」

「アラ、そちらのヤミカラスさん、なんか問題でもあるんザマスか・・・?」

と、キホーテがコガラシの足を思いっきり踏む。ぐえぇっ!と、ニワトリが絞め殺されるときのような声を上げてしまうコガラシ。キホーテは、慌てて作り笑いを浮かべながら、こう取り繕って言った。

「・・・あ、あはは!何でもあらへん、何でもあらへん!コイツ、ちょっと気分悪いだけやねん。何も、問題ありまへんで!」

「あらあら、そうだったんザマスの?それだったら、特別なハーブティでも淹れて差し上げた方がよかったザマスか・・・?」

「・・・お気遣いなく!!」

そう言ったあとで、キホーテは婦人に聞こえないよう、コガラシにサッと耳打ちした。

「お客様のご意志には従う・・・それが、ワイら商売人の責務や!大変かもしれんが、ここは頑張らな!」

「・・・は、はひ・・・」

涙目になりながら、コガラシは何とか返事をする。

そのとき、屋敷の奥からメイドのコダックがお茶とケーキを乗せた盆を持ってきた。お茶は香り立つアール・グレイで、ケーキも、とても高級なマゴの実が入った、甘そうなフルーツ・ケーキである。それを見て、さっきまで引きつっていた行商のふたりの顔は、とつぜん星のように輝き始めた。

「・・・ひゃ、ひゃあああっ!!こ、こんなんいただけまへんがな!」

「いえいえ、つまらないものザマスよ。お気になさらず、召し上がるといいザマス。・・・私の無理を聞いてくださった、お礼ザマスから・・・」

それを聞いて、キホーテの喜びはすぐに半減してしまった。・・・ナルホド、ケーキと引き換えに、返品の恩を返すつもりやな・・・なかなかやるやないか、このオバハン・・・。一方で、コガラシは嬉しくてたまらない様子だった。ようやく、頑張って働いたことが報われたんだ。そう思うと、涙さえ溢れてきそうだった。

・・・だが、早速ケーキを戴こうとする直前、キホーテは婦人が、自分もケーキを食べようとフォークに刺しながら、しかし何か落ち着かないような顔をしているのに気付いた。それで慌てて、ケーキを口に入れようとしていたコガラシの手をピシャリと叩く。

「・・・はっ!何するんでござんすか!?」

折角の楽しみを妨害されたことで思わず噛み付こうとするコガラシだったが・・・。

「・・・あのう、ちょっと言いづらいんザマスが・・・」

「・・・は、はい、どないしたんでっか、お客様!?」

と、婦人は先程示した、返品希望の品が並べられた棚を指し示して、言った。

「・・・ちょっと、返品が決まったと思ったら、早速アレが目障りに思えてきたんザマス・・・ワガママなことだとは思うザマスが、ケーキを召し上がられる前に、あの品物、全部どかしていただけないザマスか・・・?」

・・・うわっ、これはなんというワガママな・・・しかし、どうにも断り辛いシチュエーションである。

「・・・あ、はい、ただ今――」

再び顔を引きつらせながらも、そう言ってキホーテは出て行こうとした――が。

「・・・キホーテさん、大丈夫でござんす・・・あっしに任せておくんなせぇ」

また、コガラシがひとり前に進み出た。・・・コイツ、何考えてんねん!?

「・・・ちょ、ちょっとコガラシ、お前、さっき無理したばっかりやんか・・・えぇて、一緒に運ぼう、な?」

「・・・あら、おふたりで行かれるんザマスか?」

だが、そこで再び婦人が困ったような表情になる。

「・・・折角楽しいお茶会をしようとしているのに、ふたりとも出て行かれたら、私ひとりになってしまうザマス・・・」

・・・って、アンタ!それはアンタが無茶な頼みごとするからやんけ!思わずツッコミを入れてしまいそうになったキホーテだったが、

「大丈夫でござんす!これはあっしの仕事でござんすから。キホーテさんは、ゆっくりお茶を飲んでいておくんなせぇ」

「あっらー!!可愛らしいザマスこと!!頑張って!!」

コガラシの対応に、婦人は面白そうに笑う。・・・コイツ、引っ掻いたろうか?完全にコガラシをいじめてるようにしか思えない婦人の態度にキホーテには一瞬殺意さえ芽生えそうになったが、しかしこの状況、如何ともしがたい。紅茶を飲むこともできずに、ただ心配そうな視線をコガラシに送って、見守っているしかできないでいた。

コガラシは、さっさと棚の石を商売用の袋に仕舞い込むと、口をきゅっと縛って、袋の紐を銜えた。やはり、ずっしりとくる・・・来たときに、お香を入れて持ってきたのの倍近くの重さである。

「むぎぎ・・・」

苦しげに呻きながらも、彼は健気に自分の仕事を全うしようと、荷物を抱えて屋敷から出て行く。出て行った後も、キホーテは暫く、彼が消えた方向を見つめていた。・・・大丈夫か?

「・・・さぁ、それではお茶会の続きをやるザマス」

と、エアームドに言われ、慌てて前に向き直った。

が、そのとき。

ドサッ。

何かが倒れるような音が、外の方から響いてきたのだった。

>>第三話
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