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ポケモン短編作品1:リトル 【2008/05/21 22:27】
>>原作「【シリーズ:巨人話1】リトル」を読む

リトル

「リトル」。

彼はそう呼ばれていた。

身長20mもありそうな巨大なイワークなのに、だ。

なぜなら彼は、身長の割りに、全くの小心者だった。ある時なんて、旅の帰りが遅く、皆に余計な心配を与えていた。普通イワークは地中へ潜って移動するが、リトルにはそれができなかった。

「地面に潜れないイワークなんて、イワークじゃない」

何時しか彼は、一族の除け者にされようとしていた。それでも彼は自分の小心を捨てることができないでいた。自分が歩けば周りの草木がつぶれてしまうだろうし、くしゃみをすれば地震が起こるかもしれない。それに、地面へ潜ることが出来なかったのも、そういう周りへの害を恐れてのことであった。

僕はでくのぼうだ・・・いや、むしろいない方がいい・・・邪魔な存在なのだ。

彼は自分の体を憎むようになった。



冬が来て、イワークたちの住む谷は白き雪の世界へと変貌した。イワークたちはその雪の下に穴を掘り、厳しい冬をそこで越すことになる。

しかしリトルは未だ寒さの厳しい地上にいた。仲間から除け者にされていたし、もともと地中が怖いせいもあって、であった。

彼は寒さと寂しさに包まれ、枯れかけた木のようだった。

しかしそんなある日、山の上から激しく、何かが流れてくるような音が聞こえた。雪崩だ。

――逃げなきゃ!

臆病なリトルはそう思った。それが仲間たちを見殺しにすることは分かっていて。

しかし彼の体は意志とは反対に雪崩の方へ向かっていた。

これは一体どういうことだ!?まるで自分から死へ向かっているような・・・いや、その通りだ。

僕はこの世界に邪魔な存在・・・。

僕は、死のうとしているのだ。

リトルは泣いていた。深い哀しみに包まれ、自分の体の動くがままに従った。

その時、彼の名を呼ぶ声が聞こえた。

ただしそれは、「リトル」とではなかった。

――ヴレイブ!!

その名は、リトルの本当の名前である。

リトルは振り返った。そして、見た。白き雪の中に。その、全てを覆い尽くす膜の中心に。

それは彼の幼少の頃から彼を守ってくれていた者――唯一の理解者であり、親友であった。

「・・・父さん・・・」

その時、時は歩を止めた。

リトルは、暖かい光に包まれた。

――ヴレイブよ・・・

光をまとい、まるで太陽のような彼の父親は、彼に近付き、そして彼の体に頬を寄せた。

――でかくなったな・・・

今や自分の倍以上もある息子を見上げ、彼は言った。

「・・・父さん、そんなことを言われても嬉しくないよ」

寂しげに答える息子を見、聖職者のような優しい笑みを浮かべ、父親は言った。

――どうしたんだ。小さい頃は、あんなになりたがっていたろう?

「・・・昔と今は違う。それに、夢と現実だって違う。今は・・・こんなになってしまったことを憎らしく思っているよ」

彼は奥歯を噛みしめた。自分の歯が折れそうになるくらい、強く。

「僕はデクノボウなんだ。邪魔な存在なんだ。・・・僕のような存在は、この世界には必要無いんだ!!」

その悲痛な彼の表情を見て、父親は初めて寂しげな表情を見せた。

――お前は、自分の夢を忘れてしまったようだな・・・。

リトルは驚いた。

「僕に・・・夢なんてあったの?」

――ああ、素晴らしい夢だった。いつもお前は、それについて嬉しそうに語っていたじゃあないか。

父親は続けた。

――それを聴いてから、私はお前の名を変えた。そう・・・リトルというのはお前のあだ名だったが、かつてはそれが本名だったんだ。・・・しかし、私がお前につけられた新しい名前の意味・・・もう忘れてしまったんじゃないか?

その時、父親の体が薄く透き通っていくのを見て、リトルはハッとした。

「・・・父さん!?」

――ヴレイブよ・・・。

父親の声は、ものすごく弱々しくなっていた。

――時間が来てしまったようだ・・・。

「そんな、ヤだよ!父さん!」

リトルは父親の体に触れようとしたが、それは幻でしかなく、雪のように、掴んだと思った瞬間、消えてしまった。

――ヴレイブ、思い出してほしい・・・。

そして聞こえてきた言葉も、幻聴だったのかもしれないが、リトル・・・いや、ヴレイブの耳には確かな形を取り、そこに残った。

時は再び歩み始めた。

勇気(ヴレイブ)を名に持つイワークは、自らの意志で迫り来る雪崩に向かって前進した。

彼の、大きくなって皆を守るという夢を実現するために。

彼はそのとき、何か不思議な光に包まれていた。

(完)
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