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Pokemon QuestⅢ:砂漠の魔獣2~The Mystic Moonray~④ 【2008/01/04 00:00】
第四話:新しい国王(前編)
>>はじめから >>前回の話

あの魔道士が再び去ってから、一晩が明けた。

ブーバー王の国は、また昨日のような哀しげな夕日で照らされていた。

・・・いや、それはもはや、ブーバー王の国ではなかった。王は昨晩、魔道士が出て行ったあと暫くして、天へと旅立っていった。これからもこの砂漠で起こるであろう数々の戦争に勝利を収め、そして再びこの国を覇権国へと導くことが期待された、偉大なる王であった。その王の、あまりに早すぎる死である。

その死を弔う儀式は、今晩、重臣らのみの手によって、実に慎ましやかに行なわれる予定であった。王の死は、まだ全ての国民どころか、城に遣える多くの家来たちの耳にも、未だ伝えられてはいなかった。全て、極秘の事項である。もしこのことが、戦時下の今、皆に知れ渡ったなら、それは国内に大きな混乱をもたらすことになる。そして他国からも直に、今こそこの国を潰さんと、侵略の手が伸びるのは目に見えていた。

「・・・それにしても、なんとも哀しいものよ・・・」

今や、玉座に誰も座らぬ閑散とした王の間にて。窓の外の夕日を眺めながら、王の側近の中でも一番高い地位にあったワカシャモがそう口にした。

「ピータン、そう辛い声を出すな・・・我々だって、部下たち全てを弔いの儀式に参加させてやれぬのを、悔しく思うておるのだ・・・」

彼の後ろからそう声をかけたのは、軍の一部隊の隊長を務める、リザードである。やや年老いて顔に貫禄がある彼も、憂いを帯びた表情をしながら、こう言葉を続けた。

「あいつら・・・昨日の戦いの後から、ずっと王の安否を気遣っているのだ・・・その、殆どの者たちが、今でも王が生きていることを、強く信じ込んでいる。哀しいことだよ・・・いずれはやつらにも、この辛い現実を伝えねばならぬとなると・・・」

「・・・だからこそ、我らだけでも、強く、気高く振舞わねばと、そういうわけか・・・」

側近、ピータンはそう言って、深く溜息を漏らした。それは、炎ポケモンのワカシャモがはいたものとは到底思えないくらいの、冷たい息であった。

彼は隊長に振り返ると、こう言った。

「・・・私が気に病んでいることが、もう一つある」

「・・・次期王のことか?」

「あぁ、その通りだ」

「・・・確か、次期王には、ブーバー王の兄君がなる予定だった筈・・・」

「・・・その兄君が、相当なひねくれ者でな・・・」

「・・・ひねくれ者?」

その後に続くピータンの話によれば、こうであった。王の兄君は、物心つくようになってから既に、先代の王で、父親であるブーバーン王に、激しく反抗的な態度を露にしていた。そして昨年、ブーバーン王が病に倒れ、次期王の座を自分ではなく弟であるブーバーに譲られた際には、非常に憤慨し、城から出て行ってしまう程だったというのだ。

なんとも我侭な話ではあるが、一応憤慨した兄君にも言い分はあった。彼はただブーバーよりも年上なだけではなかった。彼は、ブーバーン王の正妻の子、つまり嫡子であり、ブーバーは正妻より下の身分の妻の子だった。いくら自分が王に対し反抗的な態度をとっていたとは言え、まさか腹違いの弟に跡継ぎの座を奪われるとは、兄君も納得がいかなかったのだろう。

だが当時の王の側近らとしては、そのようなひねくれ者の相手をする余裕などなかった。確かにその兄君は、ブーバーン王の嫡子であるので、大切にせねばならぬ部分もあったのだが・・・いなくなってしまってからは、正直な話、もう誰も関わりたくなかったのである。

そんなわけで、誰も城から出て行った兄君の後は追わなかったのだという。そして彼は、今でもこの城から不在であるというのだ。

ピータンのその告白に、軍の一番隊隊長、リザードは大いにうろたえた。

「・・・聴いておらぬぞ!?そのような話は・・・」

「・・・あぁ、そうだ。これも機密事項だった・・・我ら、側近の間のみでのな。しかし、今やこの状況下にあっては、それを隠しておくわけにもゆくまい。・・・一番隊隊長のリジィ、今貴殿をここへ呼んだのも、貴殿にそのことを伝えるためだったのだ」

「・・・さすれば、我々一番隊で、ブーバー王の兄君を探せと、そういうことだな・・・?」

こくんと頷くかと思ったが、再び窓の方を向くと、ピータンは言った。

「・・・別に探す必要はない・・・昨年のあの当時は、確かに誰も次期王に関心を持つ者はおらなんだが、今はちゃんと我が部下がその身元を抑えている。今晩、私はその部下に、次期王をある場所へいざなうよう指示してあるから、貴殿はただそれを迎えに行きさえすればよい」

「・・・な、なんだ、そういうことか。肝を冷やしたぞ」

一先ずは、ほっと安心するリジィであった。しかし、やや疑問が残る。

「・・・だが、それだけのためならば、何も軍まで使う必要はあるまい。貴殿ら側近のみで行なえばよい話ではあるまいか?」

「いや、この仕事には軍が必要なのだ・・・なぜなら先程も申したように、次期王はたいそうなひねくれ者であり、しかも腕っ節の強さも並ではない。そんな王が、もし城に帰るのを拒んだらどうする。多少手荒なまねをしてでも、連れてこねばならぬからな・・・」

妙に緊張感のある声だった。リジィは、ごくりと生唾を飲み干した。軍を持って押さえつけねばならぬとは、いったいどれ程の強さなのか・・・。

それにしても、ここでもう一つ、また新たな疑問が湧き出る。

「・・・しかし、そのようなひねくれ者であれば、その兄君、ブーバー王の跡継ぎなど務まるものか?ここはむしろ、他の者を立てるべきでは・・・」

「・・・いや、そうはいかぬ」

ピータンは厳しい目つきで、もはや地平線の向こうに沈みつつある夕日を睨んで、言った。

「・・・これは、王のご意志なのだ・・・ブーバー王が、死の間際、おっしゃったのだ・・・次期王は、当初の予定通り、兄君を立てよと・・・それ以外の者を立てることは、絶対に許さぬとな・・・」

「・・・王の、ご意志・・・?」

一体、ブーバー王は何を考えているのか。そう言いたかったが、敢えてリジィは何も口にしなかった。そう考えているのは、側近であるピータンも同じことだろうと考えたからだ。側近にとっては、王の意思には絶対なのだ・・・たとえその本人が、既にこの世からいなくなっていようとも。

「・・・了解した」

ようやくそう言って、一番隊隊長リジィは、部屋の外を降り向く。が、部屋を去る間際、思い出したように一つ溜息をついて、彼は言った。

「・・・しかし、今回のその仕事に我が軍を使うとなると、我が軍の者たちには伝えなければならぬな・・・ブーバー王がお亡くなりになったことを」

「そうだな・・・だが、どちらにしてもいずれは伝えねばならぬことだ」

すっかり日が沈んで暗くなった窓から目を背け、リジィをしっかり見据えて、ピータンは言った。

「それに、これから起こるであろうどのような不幸にも、我々は耐えてゆかねばならぬ・・・そうしなければ、我々はこの戦争を乗り越えてゆけぬであろう。違うか?」

「・・・ああ、そうだな、ピータン。貴殿の言う通りだ」

その声は、しかしまだ憂いが残っていた。その背中に、ピータンは更にこう言った。

「『そう辛い声を出すな』、リジィ」

はっとして、リジィは振り返る。その目には、薄っすらと涙が浮かんでいた。

彼は、震えながら口を開くと、こう言ったのだった。

「『・・・だからこそ、我らだけでも、強く、気高く振舞わねば』・・・か」

しかしその台詞には、確かな力強さが込められていたのであった。


「プハーッ!やっぱこの国の酒はうまいネェ!!おいおっちゃん、もう一杯くれや!」

バーのカウンターで、空になったピッチャーグラスがドンと置かれた。

「ひえっ・・・ゴクー!てめぇ、店の酒全部飲んじまう気じゃねぇだろうな・・・一体、今日何杯目だよ!」

「うっせーな!この、戦争の沈んだ時代に、店の景気だけは盛り上げようとしてやってるゴクー様の心意気に感謝しやがれってんだ!ホレ、さっさと持ってきやがれ!」

「・・・とか言って、どうせまたツケてくれとか言うんだろ・・・毎晩毎晩酒屋荒らし回りやがって、この不良ザルが!」

そう文句をたれつつ、店主のマクノシタは客に追加のビールを持っていく・・・さもないとこの客は、暴れて店をメチャクチャにしてしまう恐れがあったからだ。そうなってしまっては、元も子もない。くそう、この極道者め・・・眉間に険しい皺を寄せながら、店主はピッチャーグラスにビールを注いだ。

ハデなジャケットを身に付け、端のほうがやけに鋭く尖ったサングラスをした、いかにもといった感じのゴウカザルである。酒屋潰しのゴクーと、この国では名の知れた存在だ。昼間は沢山の子分を抱え、なにやら悪さしながらセコい金稼ぎをしているらしいが、夜になると更に厄介なことに、酒屋を次から次にハシゴし、各店の酒を根こそぎ飲み干してしまうほどの酒豪だと恐れられている・・・。
ゴクー(Illust:Gasutoso)
丁度一昨年あたりから現れたチンピラだったが、短期間のうちに彼は、名のある暴力集団を次から次に吸収し、勢力を増していった。腕っ節の面でも、今や彼の右に出るものは、王の抱える軍隊ぐらいしかいないのではないか、いや寧ろ、その軍隊すら負かす程ではないのかと噂されている。とにかく、警察などは簡単に手出しができないような状況だ。

そしてこの日も、昼間やってきたであろう荒仕事の打ち上げか、子分らを連れて、彼は一軒目のバーで豪快に飲んでいたわけである。

「・・・にしてもサイよぉ、お前の昼間の話、どうだったってェ?もう一回聞かせてくれよ!」

と、店主が差し出したピッチャーを受け取るや否や、一口で半分飲み干してしまったゴクーが、子分のモウカザルに尋ねた。サイと呼ばれた彼は、中ジョッキでちびちびやりながら、ニヤニヤ笑って答える。

「へっへっへ・・・アニキ、それがもう、ケッサクってもんでさ!敵のビーダルなんか、ビビってこぉんな顔しやがって!」

そこで、サイはビーダルそっくりのマヌケ顔を作った。それだけで、兄貴分のゴクーは大いに笑う。・・・一体、ビーダルなんて、またどこの暴力団とやりあってきたのだろうか?横目で見ながら、店主のマクノシタは不思議な顔をする。

と、そこでけたたましい音と共に、店の扉が開いた。いや、ぶち破られた、というべきだろう。店の中の者は皆ハッとして、一斉に入り口の方を振り向く。

「・・・酒屋潰しのゴクーってのは、ここには来てねぇのか?」

そこに現れたのは、ヘルガーである。その後ろには、大勢のデルビルが手下のように控えていた・・・。

「・・・おう?誰でぇ、俺を呼んだのは?」

2杯目のピッチャーを空にし、ゴクーは立ち上がった。さっきまで変顔をしていた子分のサイは、すぐにマトモな表情に戻ると慌てて言った。

「ヘルガー団だよ、アニキ!こいつらも、国で名の知れた暴力団だ!」

「・・・ほう、そんなのがまだのさばってたとは・・・」

言いながら、ゴクーは拳をゴキゴキと鳴らす。敵のヘルガーは、それを見ても余裕で、ニヤリと笑みを浮かべた。

「・・・あわわっ・・・た、頼む!やり合うんだったら店の外でやってくれ・・・!」

店主がヒステリックな声を上げた。サングラスのゴウカザルはそれを一瞥し、敵を睨んでこう言う。

「・・・だとよ。俺も、まだ飲み足りてねぇこの店を潰されんのは、たまったもんじゃねぇ・・・ヤロウども、店の外に出な」

「・・・クックック、知るか、そんなの」

しかし、敵は待ってなどいなかった。いきなり大きく息を吸い込むと、“かえんほうしゃ”を店の中にぶちかます。途端に燃え上がる、店のテーブルや椅子に、タル・・・。

「・・・ぎゃあっ!店が!店が!」

マクノシタはパニックに陥り、わーわー喚き散らす。そんな彼の背中にも、火が移っていた。

「・・・にゃろう!フザケやがって!」

ゴクーの子分たちは慌てて消火にかかるが、燃え広がる炎はなかなか治まりそうにもなかった。それを見ながら、ヘルガーは高らかに笑う。

「フハハハ!店ごと燃えてしまえ!ハハハハハ・・・・・・ッハ!?」

が、次の瞬間ヘルガーの顔は、凹んだドラム缶のようになった。炎の店の中から、物凄いスピードで、硬い何かが飛んできたのである。

“マッハパンチ”・・・それは、ゴクーが放ったものであった。彼は炎に包まれた店の中から颯爽と登場すると、敵の一群を睨みつける。

「・・・人の言うことはちゃんと聴けって、テメーらガッコーで教わんなかったのかよ?・・・あーあ、俺のお気に入りの店、こんなにしてくれやがって・・・」

「・・・やっ、やりやがったなぁ!!」

今の一撃が相等痛かったのか、涙目になりながらヘルガーが叫ぶ。次の瞬間、ゴクーの身の回りを、子分のデルビルたちが一斉に囲む。

「・・・ハッハッハ、カッコツケて出てきても、テメー一匹なんぞ、俺らの手にかかるのは容易いこと!やろうども、“ふくろだたき”にしてやんな!」

デルビルたちが一斉に飛び掛ってくる!一瞬にして乱闘となったその場は、砂煙に包まれ、何も見えなくなる。中からは、骨の砕けるような嫌な音が鳴り響く・・・。

「・・・バカめ。口ほどにもない・・・」

と、そう言ったヘルガーの目の前に、何かがスッと降り立った。それは、余裕の笑みを浮かべ、口を動かした。

「・・・テメーの子分、バカじゃん?」

「・・・な!?」

そう言って後方を指差すと、もう既に半数ほどのデルビルが、同士打ちによって倒れている・・・。

「・・・きさま、いつの間に・・・!?」

が、お決まりの台詞を口にしようとしていたヘルガーの顔は、今度はゴクーの蹴りによって、再び凹まされてしまった。そのまま後方に弾けとび、そこに生えていた街路樹にぶつかって、グッタリとなる。

「・・・さぁ、バカ暴力団め。この度のオトシマエ、どうつけていただこうか・・・」

そう言って、ヘルガーににじり寄るゴクー。もはや、敵には抵抗の余地はなかった。

「・・・とにかく、まずは火を消してもらわねぇと、俺の子分が焼かれちまう。さっさと・・・」

「アニキーッ、無事鎮火、完了したぜ!」

・・・と、その背後から、彼の子分、サイが駆けつけてきた。

「・・・って、早えな!おい!・・・折角こいつらに仕事押し付けようとしてたのに・・・」

「・・・アハハ、それが、とんだ助っ人が来てくれてさ・・・」

「なに、助っ人!?」

と、店の方を振り返ると、そこにいたのは・・・大勢のリザード。

「・・・って、なんだこいつら!?また新手の暴力団か!?」

「ち、違うよアニキ。こいつら、政府の軍の連中だよ。一番隊隊長の、リジィとかいうやつが率いてるらしいんだけど・・・」

「・・・あ、なーんだ!政府の軍か!あっはっはっはっは・・・」

やや遅れて、その表情は凍りついた。

「・・・って、何で政府の軍が助っ人に駆けつけてくるんだよ!?」

「・・・いや、アニキ。俺にもわからないよ・・・」

と、彼らの前へ、一匹のリザードが進み出た。軍の中でも、一際威厳に満ちた顔をしている。

「・・・私が、一番隊隊長、リジィだ。酒場潰しのゴクーとやらは・・・貴殿であるな」

「・・・そ、そうだが・・・ジジィ、何か俺に用でもあんのか!?」

「・・・ジジィ!?」

そう呼ばれて、少しムッとした一番隊隊長。

「・・・あ、あわわ・・・ちょっとアニキ、ジジィじゃなくて、リジィだよ!リジィ!」

「・・・いや、モウカザルよ、そう気にせずともよい・・・お蔭で君の兄貴分が、充分ヒネクレ者であることがわかった・・・」

そう言うと、軍の隊長は更にゴクーの近くに進み出る。

「ちょ・・・ジジィ!テメェ、何する気だ!?」

が、彼はゴクーの目の前まで来ると、その場で突然跪いてみせた。そしてその口から、こう言葉を紡いだのであった。

「新国王陛下、お出迎えに上がりました」

>>第五話
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