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Pokemon QuestⅢ:砂漠の魔獣2~The Mystic Moonray~⑤ 【2008/01/05 00:00】
第五話:新しい国王(中編)
>>はじめから >>前回の話

玉座に誰も座らぬその城の王の間には、先程連れてこられたサングラスのゴウカザルと、その子分たちがズラリと並べられ、座らされていた。

「・・・ようこそ、我らが城へ。思ったよりも、お早い到着でございましたな・・・新国王陛下。歓迎いたしますぞ」

ゴウカザルの目の前に立ち、そう口を開いたのは、王の側近の中でも一番の位に就くオスのワカシャモ、ピータンである。

「・・・てめぇ、ピータン!歓迎って言う割には、俺らに対するこの扱い・・・どうなってやがんだよっ!」

久々に対面した城の重役に、ゴウカザル、ゴクーはそう食ってかかる。それもその筈、ゴウカザル含む各々の足には、それぞれ“くろいてっきゅう”が足枷としてはめられていたからである。それはまるで、新王の来城を歓迎しているというよりも、これから犯罪者たちの集団処刑が行なわれでもするかのような光景だった。

「・・・仕方ありますまい。やはり思った通りではございましたが、殿下をお連れしようとしたところ、いささか暴れられましたので・・・」

今度はゴクーを連れてきた軍の一番隊隊長、リザードのリジィがそう応える。それに対し、ゴクーはなおも文句を言おうとするも、

「・・・しょうがないよ、アニキ・・・これは自業自得ってやつだよ・・・」

と、後ろに控えていた子分、モウカザルのサイに言われて、ようやく食い下がった。しかしその目は、まだずっと目の前のピータンを睨み続けている。

やれやれ・・・それを見て、年配の武将、リジィは溜息を吐いた。さっきのような台詞を吐いたものの、まさか本当にこのゴクーたちが、軍に向かって襲い掛かってくるとは思っていなかったのだ。いくらひねくれ者とはいえ、次期王であることには変わらぬ。それを、なるべく友好的な立場から迎え入れようと努めたつもりだったのだが・・・これは、筋金入りのひねくれ者だと見える。本当に、このような輩に次期王が務まるのだろうか?

「・・・ところでよぉ、ピータン!てめぇに一つ、訊きてぇことがある!」

と、大人しくなったかと思うと、ゴクーは再びやかましく口を開いた。全く、こいつは空気を読むということを知らんのか?

「そこの兵士ども、易々と俺たちの前に現れやがった・・・俺はこれでも、街の中じゃあ色んな暴力団に目ぇつけられてる存在でよ。一箇所の酒場に留まってちゃあ、次から次に敵の暴力団の襲撃に遭っちまう。まぁ、来る度にぶちのめしゃあいいだけのハナシなんだがよ、酒飲むときぐらいは普通、ゆっくりしときたいってモンだ。だから、なるべく狙われねぇよう、店を転々としてるわけだが・・・」

まぁ、そのお蔭で“酒屋潰し”のアダ名が付いてしまった部分もあるのだが。ゴクーは、話を続ける。

「・・・それでも中には、店回りまくって、わざわざ追っかけてくるような連中もいる。今晩も、そうやってヘルガーの暴力団に襲われた。けどよ、その直後のこった。そこの軍隊、俺たちの加勢にでも来たように現れやがって・・・これじゃあまるで、端ッから俺らの居場所、知ってたみてぇじゃねえか。何だか、気に食わねぇハナシさ。こりゃあ一体どういうことか、説明してもらおうじゃねぇの!?」

ピータンは真顔のまま、答えた。

「恐れながら・・・我々、殿下の居場所を予め突き止めていたというよりも寧ろ、我が部下を使いまして、殿下らをあの酒場へ誘導していたのでございます」

「・・・なるほど、やっぱりそういうことか・・・」

そう言って、彼は自分の子分らを振り向き、更にこう続けた。

「薄々気付いていたさ・・・今日も、実は俺、最初あの店に行く気はなかったんだ・・・けど、俺の子分のひとりが、妙にあの店に行きたがってたもんでよぉ・・・」

そう言って、彼はその当事者である、モウカザルのサイを睨んだ。サイは、目を丸くする。

ピータンが、フフッと笑って、こう口を開いた。

「・・・流石は殿下。やはり勘が鋭くあられるようで・・・」

それにゴクーは再び向き直り、勝ち誇った様子でこう叫ぶ。

「てめぇ、俺の子分らの中に、政府のスパイを紛れ込ませていやがった・・・!」

と、後ろの方で、サイがすっくと立ち上がる。

「アーッハッハッハ!流石は殿下、よくぞ見破られましたでゴザル!そう、お察しの通り、拙者こそが政府のスパイ――」

「・・・なんてことは、ねぇな!!」

瞬間、時間が止まったように思われた。

ひょっこり立ち上がったサイに、ゴクーは見向きもしなかった。何だか子分のなかでひとり浮いただけの感じになってしまったサイは、再び座り直すべきか、そう悩んだほどだ。さっきまで冷静だったピータンも、どうすべきかわからなくなって、ただ嘴をパクパク動かしている。その場の空気を明らかに読めていないゴクーは、更にこう言った。

「・・・まぁ、フツーは考えるよな!でも、ぜってーねぇよ、俺の子分らに限ってそんなこと!きっと、通りすがりの誰かが、ウチのサイに吹き込んだに違ぇねーんだ!うん、そうだ、そうだ!そいつがスパイだ!」

・・・なにやら一人で納得しているが、サイはそんな兄貴分の肩を、ちょいちょいとつつく。それで、ようやくゴクーは、サイの方を向いた。

「・・・ん?なんだ、サイ。ひとり立ち上がったりなんかして。トイレか?」

勘がいいのか、悪いのか・・・周りの連中は、皆一斉に溜息をついた。

「あの、アニキ・・・いや、殿下。だから、その、拙者がスパイ・・・」

改めて、サイは自分を指差し、そう答える。一瞬、間が開いた。

「・・・あーっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!」

と、いきなり笑い出すゴクー。

「なるほどー!そうだったのか、お前がスパイか!そーか、そーか!あっはっはっは・・・・・・って、ええええええぇええええぇえええええええぇえええええ!?」

と、ようやく目玉を大きく見開いて、驚きを表現してみせた。・・・何にしても、ワンテンポずれている。

「・・・お、お前が政府の・・・?ま、まじか・・・?」

全く信じられない、という風に言うゴクーに、サイはこくこくと頷く。

「・・・じゃ、じゃあもしかして、今日の昼、他所の暴力団を倒しに行くっつって、ひとりだけ出て行ったのも・・・」

「あ、はい・・・それはスパイとして、ブニャット王が国へ参っておったのでゴザル・・・」

「・・・じゃあ今晩酒場で話してた、敵方のビーダルってやつは・・・」

「あっ、それは敵国の大臣のことでゴザル。ぬぅ、うっかり喋っていたとは、拙者、不覚にゴザった・・・」

「・・・じゃあ、毎晩遅く、皆が寝静まっている時に、こっそりねぐらから出て行って、暫く帰ってこなかったのも・・・」

「なんと、それにも気付いておいでにゴザったか!それも、スパイ活動を通じて知りえたことを、城に色々と報告をしに行くためだったのでゴザルよ・・・」

「・・・てっきり、クソが長ぇだけかと思ってた・・・」

それだけの手がかりがあって、どうして気がつけなかったかが、寧ろ不思議である・・・。

「・・・ともかく、そういうことでございます、殿下。お気を悪くなさりませぬよう・・・」

ようやく元の調子に戻って、ピータンは口を開いた。では、サイ、ご苦労であった、下がってよいぞ。そう言うと、サイは、はっ、と軽く返事をし、足枷を自分で簡単に外して、王の側近ら、政府側のポケモンらのもとへと進み出た。ゴクーは、その一部始終を恨めしげな表情で眺めて、ようやく彼がスパイであったことを信じたようである。リジィはまた、はぁ、と、別の意味の溜息をついた。

「・・・ま、まぁいいや・・・一つ謎は解けたところで、次の質問だ」

と、ゴクーは再び口を開く。ショックを受けた後でも、相変わらず自分が主導権を握っているつもりでいるとは・・・ある意味、タフなことである。

「・・・よいでしょう。では、何なりとお尋ねください」

こういうとき、相手が自分よりも権力が上であるということは、実に厄介である。一々答えていては、話が先に進まないではないか・・・そうも思うが、ピータンは素直に聞き入れるほうを選んだ。

しかし次の質問に関しては、寧ろ無理にでも拒否する方を選択するのが、あるいは適切だったかもしれない。

「ブーバー王は・・・あのナマイキな弟は、一体どこにいやがるっ!?」

・・・何を今更。そのことについては、彼らを城へ連れてくる再に、既にリジィの口から聞かされている筈だった。呆れながらも、ピータンはこう答え始めた。

「・・・ブーバー王は、天に召されたのです。だからこそ、我々は殿下を、次期王とすべく、今晩この城にお連れし・・・」

「いいやっ、信じねぇ!!」

けれど、忠実なる側近の台詞を途中で遮り、ゴクーはこう捲くし立てた。

「死んだとか言って、どうせどっかに隠しやがっただけだろ!?この戦争の世の中だもんなぁ・・・いつ殺されるか、わかったもんじゃねぇもんな!・・・そんでよ、俺がやつの代役になって、働けってこったろ?この戦争が終わるまで・・・それまでの盾に、俺がなれって、そういうことなんじゃあねぇのかっ!!??」

「・・・ま、待て!かの王が、そのような卑怯な計らいをするとでも・・・」

これにはリジィもいささか腹を立てて、そう言う。

「・・・だああああっ!うっせーよっ!!!」

が、もはやゴクーは、止まることを知らない。彼は、体中の血管が浮き出るほどの怒りを込めながら、なおも続けた。

「あいつはぜってー死なねーんだよ!死んじゃいけねーんだよっ!わかってんだろう、そんなことはお前らでも・・・!」

ビキッ・・・。そのとき、あろうことか、彼の足枷にヒビが入った。それに気付き、リジィは慌てて、部屋を囲むように配置されていた兵士たちに目配せし、ゴクーを抑えるように指示するが・・・。

「・・・待てっ!」

ピータンの一言は、軍の動きを止めた。そして、ゴクーにそのまま喋らせる機会を与えたのである。

ゴクーは、続けた。

「・・・あいつは、何がなんでも守らなきゃいけねーんだよ・・・。・・・ウソだろ?死んだなんて・・・なぁ、ウソだって言ってくれよ・・・あいつが、あんな立派なやろうが、なんで死ななきゃいけねぇんだよ・・・何でだぁーーーっ!!!」

怒りは、いつの間にやら悲しみに変わっていた。目から鼻から、汚らしいほどの涙やら何やらを流しながら、ゴクーは唸っていた。さっきまでの暴れ者の面影は、どこにもなかった。

そこにあったのは、悲嘆に暮れる、ただの哀しい獣の姿だった。

>>第六話
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