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Pokemon QuestⅢ:砂漠の魔獣2~The Mystic Moonray~⑩ 【2008/01/10 00:00】
第十話:食卓(前編)
>>はじめから >>前回の話

台所の窓から差し込んだ光がガラスによって拡散され、七色の虹ができていた。今日も、ぽかぽか陽気の朝である。

ナースは水槽のテッポウオにエサを与えようと、手に一握りのポロックと呼ばれる飼料を持って進んだが、彼女が近付いた瞬間、テッポウオは水槽からぴょーんと飛び上がり、自ら飼料を奪うと、再び水の中にドボンと落ちた。水飛沫が、きらきらと輝きながら宙に飛び散った。

「きゃあっ!・・・もうっ、相変わらずわんぱくなコね!」

ナースは怒ったような声を出してみせる。しかし、流石はレオナ護身用の武器代わりなだけのことはある。元気があって、なによりだ。

そのほぼ直後、食堂からも、あぁーっ!という子どもの大きな声が上がる。こっちはわんぱくというよりも、大分むじゃきな様子である。

「わぁーっ、キホーテお姉ちゃんったら、スープ零して!行儀悪いんだぁーっ!!」

「うぅ・・・朝っぱらからうるさいな、レダ。・・・こちとら寝不足なんやから、もっと小さい声で喋れや・・・ふぁああぁ・・・」

「寝ながら食べてる方が悪いでしょ!全く、夜更かしするからいけないんだよ、夜更かしはドロボウの始まりだぞっ!」

「それを言うなら、“ウソツキはどろぼうの始まり、ウソッキーはウソハチに始まり”やろ・・・なぁ、頼むから静かにしてぇな・・・」

その様子に、食卓に戻ってきたナースがクスクスと笑って言う。

「レダ様、あんまりキホーテさんを怒らないであげてください。それに、お喋りはちゃんとお食事がお済になってから、ですよ」

「へっへーん!もう食べ終わったよ!」

そう返すレダだったが、皿の上にはまだ、手付かずで残っている青い木の実があった。

「あら、レダ様・・・カゴの実はお召しにならないのですか?」

「うぅっ・・・ボク、渋い味はキライ!コガラシお兄ちゃん、あげるよ!」

しかし、隣に座っていたコガラシも、うっつらうっつら、船を漕いでいる。こちらも、大分お疲れの様子だ・・・。

昨晩彼らは、随分長いこと、暴れるサンドパンと格闘していた。払いのけられそうになったり、蹴り飛ばされそうになったりしながら。再び薬を投与することは、副作用などのことも考えて、なるべく避けなければならなかった。兵士は、彼ら自身の力で鎮める必要があった。

それに兵士の体は、そのとき物凄い熱を帯びていた。レオナはそれに、弱めの“こごえるかぜ”を送りながら、冷ますよう努めた。そんな末、ようやく兵士が大人しくなったのは、夜中の三時を過ぎた頃である。

それからのことは、彼らにはあまり記憶に残っていない。自分たちにも疲れが滝のようにどっと被さってきて、その場に沈み込むように、眠りに落ちてしまったのである。目を覚ましたとき、レオナが兵士の胸に顔を埋めて泣いていたのには驚いた。やはり、助けられなかったのかと思った。しかし兵士の目にはちゃんと物が映っており、優しげな笑みを浮かべながら、彼らのことを眺めていたのだった。喜びよりも、正直、安堵の方が先にきたように思う。キホーテもコガラシも、それを見ると再び床に転がってしまったのである。

レダは、一緒に寝ていたはずのキホーテが、目を覚ましたらいなくなっていたことにびっくりして、朝から大声で泣き出してしまった。ナースはそんな彼を慰めるために、直ぐに起き出して、おいしい朝食作りに取り掛からねばならなかった。転がったままのキホーテとコガラシも、両脇に抱えて食堂に運んでやりながら・・・やれやれ、久し振りの泊り込みの仕事は、苦労ばかりである。

けれど・・・今とても心が安らかで、嬉しいのはどうしてだろうか。レオナが、先生があんなに顔をくしゃくしゃにしながら兵士の回復を喜んでいたことが、ナースにとっては何よりだった。

あの方が亡くなったとき、先生はどれほど哀しまれたか・・・。彼女は今でも、心に痛い思い出として残していた。

10年前の戦争のとき、戦地から当時のレオナの夫が見るも無残な姿になって帰ってきたときには、レオナもナースも、恐怖や哀しみで崩れそうになった。

その当時も、レオナたちの国は、戦争には加担してはいなかった。けれど、レオナ共々国の議員の地位にあった彼女の夫は、同じ砂漠の地に住んでいながら、ボクらだけ平和を貪っていてはいけないよ、と、視察隊として戦場に赴くことを希望したのだった。戦争のありのままの姿を、この目に焼き付けてきたいと言って。

何と愚かな考えだろうかと、誰もが彼を止めようとした。しかし彼の意思は、樹齢100年の大樹のように太く、固かった。彼は、正義感の強いポケモンだった。彼は言ったのだ。この国のポケモンたちにも、戦争がいったいどういうものか教えてあげなくちゃならないんだ。これから先も、この国が戦争に加わったりしないように、と。そんな彼を、レオナは愛していながら、自分の元へ繋ぎ止めておくことはできなかった。いや、寧ろ愛していたからこそ、彼を、彼の意思のままに任せたのであった。

別れ際、彼はレオナに言った。どうしたんだい、まるで世界が今にでも滅んじゃうような絶望的な顔してさ、と。

「ボクは世界を守るために、今から旅立つんだ。キミが、レオナが、これからも笑って暮らせるような、そんな世界を・・・。だからお願い、そんな顔はしないで。きっと、きっと守ってみせるから。ボクらのこの国を、レオナの幸せな世界を」

しかし結局、彼女の夫は生きて帰ってきたものの、そのとき受けていた大きな怪我から回復し、助かることはなかった。本当に、それで生きているのが不思議なくらい傷だらけで・・・それを塞ごうとすると、もはや体を包帯でぐるぐる巻きにする他なかった。まるでゴーストポケモン、サマヨールを連想させるような姿にされた患者は、戦地から帰ってきたその晩、急に狂ったように暴れ、そのまま残り少ない体力をすり減らし、死んでいったのだった。

レオナがあれほど慕っていた、彼女の夫は、永遠に消えてしまった。嘗てあった大木は、もうそこにはなかった。医者でありながら、どうして守ってやれなかったのだろうか。彼女がどれ程悔やんだことか。いいえ、違います。先生は何も悪くはありません・・・悪いのは全て、戦争です。ナースはそう言って慰めようとしたが、レオナは、それから暫くの間、心を閉ざしてしまった。彼女も、夫が守ろうとした彼女の世界も、そのとき枯れた花のように萎れ、散っていってしまったかのようであった。

しかし、そのときの夫の死は、決して無駄にはならなかった。国民の多くが彼の死を悼み、それから国は、戦争に加担しないという意思を最後まで貫き通したのだ。少なくとも国の平和は、夫の夢の半分だけは、彼の死をもって叶えられたのであった。

そしてもう半分、永遠に失われてしまったかと思われていたレオナの世界にも、また新しい芽が芽吹くのは、その当時、国王の元に新しく生まれた第二王子の乳母役に、彼女が任命されてからのことのである。

レオナには夫との間に子どもがいなかったが、レダがその代わりを果たしてくれたようであった。初めての子育てが始まり、忙しい中にも、レオナは少しずつ心を取り戻していった。レダは、決してレオナのことをお母さんと呼びはしなかったし、レオナも“レダちゃん”ではなく、他の下々の者が呼ぶような“レダ様”という呼称を改めはしなかったので、一見とても不思議な親子であった。だが、よく見れば確かに、ふたりの間には母と子のようなしっかりした強い絆が形作られていた。そしてそこに、レオナの新しい世界が芽吹いたのだった。

けれども、今でも彼女が嘗ての夫のことを忘れられないのは、昨晩の彼女の涙を見ても明らかであった。忘れられるわけがない、忘れられるわけがないのだ。本当に愛した記憶は、決して消えるものではないのだ。戦士が遠く昔に受けた古傷が冷たい雨を受けて痛み出すように、それは心の染みとなって、寒い夜の風に当たって疼いたりするものなのだ。

だから、今回あのサンドパンが助からなかったときには・・・きっとそのときこそ、レオナの世界は根こそぎ、完全に奪い去られていたのではないかと思う。まだ彼女の心は若く、痛み易いのであった。そんな心を、今は、何とか守り抜くことができた。きっと、そのことが、ちゃんと役割を果たしきったことが、ナースにも、安らぎと喜びを与えてくれているのに違いないのだ。

そしてまた、キホーテやコガラシが寝ぼけまなこでいられるのも、全てが平穏無事に終わったことの証拠であった。

「・・・ところで、さっきからひとつ、気になることがあんのやけど・・・」

と、零したスープを布巾で拭きつつ、キホーテが口を開いた。片方の手で、コガラシの隣の席、レダとは反対側になる方を指差しながら・・・。

「一体、ダレや、そいつ?」

言われて、コガラシも隣に首を動かしたが、そのとき初めて驚きの表情を示す。そこには、見たことのないポケモンが、ぐったりとした姿勢で座っていた・・・体は白く、手に筆を持ち、頭にベレー帽のようなものを被っている。いや、よく見ると、手に持った筆に見えるものは、そのポケモンのお尻から生えた尻尾であり、頭のベレー帽も、もともと頭の形がそうなっているのだということに気付く。とても珍しいポケモンだが・・・隣に座っていながら、なぜコガラシは今まで、その存在に気付かなかったのか。

「・・・きゃあっ、役所のドーブルさんじゃありませんか!?一体、どうしてこんなところに・・・」

と、声を上げたのはナースだった。彼女も気付いていなかったとは・・・。

「み、みず・・・みずを・・・」

ようやく皆の視線が集まると、ドーブルと呼ばれたポケモンは苦しげに呻いた。否、実のところ、彼はさっきからずっと苦しげな声をあげていたのだが、哀しいことにそれは誰の耳にも届いていなかったのである。

「・・・いや、ワイは気付いとったんやけど・・・」

おぉ、キホーテ。それならそうと早く言っておくれよ。

「えっ、ミミズですか!?困りましたね・・・ウチではミミズなんて扱っておりませんのに・・・」

・・・そこっ、そこっ!使い古されたギャグ飛ばしている場合ではないぞ!

「水でござんすか!?はいっ、それなら、あっしのを飲んでおくんなせぇ!」

代わりにコガラシが、彼の持っていたコップをドーブルに差し出した。ドーブルは感謝の辞を述べる余裕も無く、すぐにコップの中身を口の中に注ぎ込むが・・・。

「からーーーーーーーーーーいっ!」

ブホッと、赤い液体を口から吐き出した。

「キャーッ!!吐血!?キャーッ、キャーッ!!」

「・・・って、ナース落ち着け!マトマジュースや!コガラシも、そんなもん飲ませんなや!!」

「・・・も、申し訳ないでござんす・・・あっしも、まだ寝ぼけてて・・・つい」

しかしお蔭で、ドーブルはぐったりしていた状況から立ち直り、タンっと椅子から降りた。

そして、皆の前で姿勢正しく起立しようとしつつも・・・まだ調子が悪いのか、頭をフラフラさせている。

「・・・ご、ご迷惑をかけてしまって申し訳ありません・・・お蔭で、目が覚めまし・・・ヒック!わ、私は、役所に勤めます、シャラクという者・・・ヒック!あ、あの・・・パスポートの件で、昨晩よりお伺い・・・ヒック!」

どうもしゃっくりが止まらない様子ではあるが、伝えたいことは辛うじて伝わった。

「む、役所のポケモン?・・・って、そうかぁ、思い出したぁ!昨晩、レオナが言うとったなぁ・・・完全に忘れとったけど」

「それにしても・・・うぅっ、大分酒臭いでござんすね・・・」

「くさい、くさ~いっ!」

コガラシも、レダも、思わず鼻をつまむ。

「す、すいませ・・・ヒック。あの、表の方にいらっしゃった、ロシナンテさんに飲まされたもので・・・うひひひひひ」

これも酔いのためか、随分気持ち悪い笑い方をするものである。

「・・・おぉ、そりゃまぁ気の毒に・・・アイツ、加減いうもんを知らんからな。しかし、どないすんねん。そんなへべれけ状態で、絵なんて描けるんかいな?」

「も、勿論ですとも!さぁさ、早く皆さんのパスポートを、私の前にお出しくださ・・・ヒック」

どうも信用ならないが、ともかく、キホーテとコガラシは昨晩レオナから受け取っていたパスポートを、彼の前に差し出した。

すると、急にシャラクの目つきは鋭くなり・・・

「でやっ、とうっ!」

突然、そんな掛け声とともに舞うような動きをとったかと思うと、不思議なことに、次の瞬間にはキホーテらのパスポートに、彼女らの似顔絵が入っていたのである。それも、まるで写真に撮ったように美しく・・・。

「・・・おぉっ!お前・・・スゴイやんか!」

「わぁっ!あっしの顔でござんす!やった、やったぁ~!!」

キホーテは素直な感嘆を示し、コガラシも子どものように喜ぶ。その反応に、シャラクは照れくさそうに、ベレー帽のカタチの頭を片手で押さえる。

「・・・そ、そんなに褒めることじゃないですよ・・・普段の職務ですので・・・うひひひひ」

しかしその仕草は、未だ酔いのために、可愛いどころか若干気味悪く見えてしまったのは、些か残念なことである。

「・・・あぁ、そうそう。ロシナンテさんのパスポートにも、昨晩既に顔入れさせていただきましたので・・・これで、以上三名、間違いなくパスポートが完成いたしました。ではでは、私はこれにて・・・」

と、そそくさと退散しようとしたシャラクの腕を、キホーテはガシっと掴んだ。

「おい、待てっ。ひとり忘れとるやろ」

「えっ・・・もう一方、ですか・・・」

と、シャラクは何だか、やけに落ち着かないような顔をしながら言う。なんや?この反応は・・・。

「む、サンドパンのことやけど・・・あれ、ちゃんと、聞いとる筈やろ?ワイらさんにんと、あとひとり、サンドパン・・・」

「サンドパンさん・・・あわ、あわわわわわ・・・」

段々と、恐怖に怯えるような顔に変わっていく。そしてとうとう、その目からブワッと涙を溢れさせたかと思うと、突然、キホーテに向かって土下座を始めた。

「・・・って、えぇえぇぇええ!?お、おまっ・・・何してんねん!?」

「も、申し訳ございません・・・キホーテさんとやら。先に申し上げるべきでございました・・・そ、その、この度は本当に残念なことで・・・」

「・・・え、えーっと・・・あの・・・残念とか言われても、ワイには何のことかさっぱり・・・」

と、急にコガラシがはっとして、慌てるような声でこう言った。

「・・・ま、まさか・・・急に、サンドパンさんにはパスポートが発行できなくなったんじゃあ・・・」

「・・・は!?おまっ・・・何言って・・・!?だ、だってカードは既に昨日、作って貰った筈やろ!?」

そう反論するキホーテに、コガラシは耳打ちした。

「ひょっとして、昨晩のうちに、サンドパンさんが他国の兵士だってことがバレるようなことがあったんじゃあ・・・」

「な、なんやて!?そんな・・・この国の誰にも、顔出しすらしてへんうちから、そんなんバレるわけ・・・」

しかし、キホーテの鼓動は高鳴っていた。折角今朝息を吹き返したばかりなのに、それがいきなりひとりだけ、あの砂漠の中に追放となると・・・レオナの、そしてワイらの今までの苦労は何やったんや!?

「・・・な、なぁ、シャラク・・・まさか、サンドパンにはパスポート発行できへんとか、そんなこと言うんやないやろうなぁ・・・」

恐る恐る、彼女は真相を確かめるために、そう言ったのだが・・・

「・・・は、はい・・・正しくその通りで・・・」

シャラクの回答に、目の前が真っ暗になったような気がした。予感的中。まさか、こんなことがあっていいのだろうか・・・。

が、シャラクの台詞はまだ続きがあった。

「その・・・死んだ方には、パスポートの発行はできません・・・申し訳ございませんというか、その・・・ご愁傷様でございましたっ!!」

「・・・は?」

一同、ぽかーんとした表情になる。意外な反応に、今度はシャラクの方が慌て始めた。

「・・・えっ・・・あの・・・私、何か間違ったこと言いました?サンドパンさん、今朝亡くなられたんじゃあ・・・」

「・・・だ、誰やねん・・・そんなデタラメなことお前に教えたやつは・・・」

キホーテの顔が、みるみる怒りに染まってゆく。

「えっ・・・あの・・・ロシナンテさんが・・・!そのっ、昨晩、診療所の様子が騒がしかったようですから・・・これは、サンドパンさんが危篤状態であるとのことを言われまして・・・」

「あぁ・・・それは間違いあらへん・・・あいつが昨晩死に掛けとったんは事実や。けどなぁ、ちゃんと息吹き返したんや!今はもう、目も覚めて、寝室でレオナが朝飯食わせとる!勝手に殺すな!!」

「えぇ~っ!!・・・で、でもっ・・・ロシナンテさんが・・・」

どうやら、まだ弁解を続けるようである。それを、キホーテは今回、許した。そして、彼の口からこんな話を聴いたのであった。

「『どうせ、あいつが死ぬのは免れなかったんだ。だから、私らは酒でも飲んでればいいんだ』って、確かにそうおっしゃったんですよ!!」

「な、なんやてぇ~~~~~!!!???」

一方その頃。

問題の張本人、ロシナンテは、今頃になってようやく、馬車小屋にて目を覚ましていた。目の前には既に、ナースによって朝食が用意されていたが、完全に酔いつぶれていたので、今の今まで気付くことなく、爆睡していたのだった。

「おぉ・・・しまった。ヤケ酒がすぎたか・・・むぅ、しかし今日もまた、やけに晴れ渡った朝だな・・・」

そして溜息を吐くと、憂いを帯びた表情でこう言う。

「全く、ポケモンの死んだ朝だというのに、似つかわしくないものよ・・・雨でも降ってくれれば、もっと雰囲気が出るだろうに・・・尤も、砂漠の雨なんて局地的なものでしかないがな」

視点を下に戻すと、目の前の朝食もやけに美味そうだ。いや、こんな日だからこそ、ナースめ、腕によりをかけたに違いない。全く、あいつはイイヤツだ・・・そう思うと、また涙が出てきた。

ふと、また空を見上げて、心の中で呟く。サンドパン・・・ちゃんと成仏してくれよ。お前の勇姿は、決して忘れないぞ、と。

・・・はぁ、それにしても、主人たち、きっと哀しんでいるだろうなぁ。なんてったって、まだ若いから。ここはオトナの私が慰めてやらねばなるまい。うむ、どんな言葉をかけてやるのが一番だろうか・・・。

「・・・ロシナンテーッ!」

と、診療所の扉が開き、キホーテの声がした。むっ、もう慰めてもらいに来たのか!?

「・・・おぉ、主人!可愛そうな主人!さぁ、私の胸に飛び込んでおいで!」

咄嗟に、ロシナンテは思いついた台詞を口にする。が、よく見るとどうやら、キホーテの様子は彼女が予想していたものとは違うようであった。

怒りを顔全体に浮かび上がらせ、キホーテはロシナンテの元へ突進してくる・・・。

「・・・くおぅら!このどアホウがぁっ!!勝手に、大事な仲間を殺すなやぁあああぁああぁああっ!!!」

パッカーン、と、キホーテの拳による乾いた音が響き渡った。

それは、全くもってこの晴れ渡った空に似つかわしい、爽やかな音であった。

>>第十一話
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