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Pokemon QuestⅡ:砂漠の魔獣~The Great Sunshine~③ 【2007/12/17 00:00】
第三話:旅の行く末
>>はじめから >>前回の話

魔道士の旅の目的を知るものはいない。魔道士の中には、強さを求め修行へと赴く者、行商に混じって金儲けをする者、見聞を広めるために諸国を旅する者など様々いるが、その真の目的というものは大概、秘密とされているものだ。

平和をもたらすためと偽り二国の間を行き来し、その裏で戦争を起こす切欠を作り、両国を破滅へ導いた悪の魔道士もいた。また、自分は目的など何も無い、つまらない旅人だと語りながら、荒れ果てた大地に木の実を植え続け、見事そこへ森を復活させるに至った立派な魔道士もいた。

それゆえ魔道士というものは、尊敬されることもあれば恐れられることもある、不思議な存在である。その行いによって「悪魔」と呼ばれることもあれば、「賢者」と呼ばれることもある。

さて、この物語の最初に登場したフーディン、ンゲは、そのどちらにも属することのない謎の存在であった。というのは、前書きにて「多くの戦場でその名を轟かせた凄腕の魔道士」という風に彼のことを記したが、それは味方となった者にとって彼は英雄であるが、敵方にとっては逆に、憎むべき相手であるということを意味するからである。

けれど多くの戦いにおいては、彼が最終的に戦いを終結させ、平和をもたらす役を担ったということが伝えられており、それを信じて彼のことを賢者として讃える者は、事実少なくは無かった。

また、これはあまり知られてはいないが、彼はまた、ある森で暴君として君臨していたムクホークを改心させ、森に平和をもたらす一役を担ったこともあるのだという。そのことを知れば、ンゲが賢者であると慕うものはもっと多くなり、やがて彼の武勲(いさおし)を詩に謡う者も現れよう。

だが、今回のこの砂漠の旅は果たして平和へのためのものなのか、連れのヤミカラスにもわかるものではなかった。今まで魔道士から各地の様子を調べるという仕事を任され、砂漠の中を飛び回ってきたのだが、今回の戦争はただ2国間の争いに留まらない。それを全て治めることなど、たった一匹の初老のフーディンに務まるのだろうか。

それに今のところ、ンゲは各国を転々とし、それぞれの戦争に加担している。それによって自分たちが食いつなぐための利益を得ることも必要だろうが、平和を求めるのであれば戦争を止めさせることこそ先決なのではないかとも思う。

しかしときに、魔道士はコガラシに、ヒントのようなことも告げるのであった。自分は、ある目的の場所へ向かおうとしているのだと。そして今行なっていることこそが、その目的を達成するための下ごしらえだ、と。

その目的の場所とは一体どこなのだろうか。彼の得意とするテレポートを使ってすら、辿り着けないような場所なのであろうか。尤もテレポートというものは、長距離をも一瞬で移動のできる優れた能力であるが、移動手段としては不完全な部分もある。そのことについては、また後で触れる機会もあることだろう。

何はともあれ、コガラシはンゲを信用し、従うにとどまった。ンゲのことを信用していたからである。幼き日、彼は故郷の森にたった一羽で寂しく暮らしていた。そんな彼の元へ立ち寄り、希望を与え、連れ出してくれたのがンゲだった。

だから今、彼の全てはンゲのものだった。ンゲが行くところ、どこまでも付いていこうと彼は心に決めていたのである。


ンゲがブニャットの王の元から逃げ出し、命を狙われるようになった日から一晩明けた朝のこと。コガラシは再びンゲと別れ、単身、次のオアシスの街を求めて飛行を続けていた。彼の体と頭には今、淡い黄色をした麻の布が巻かれていた。日よけ服だ。この灼熱の砂漠において、体の黒いヤミカラスが空を飛べば、その体はすぐに熱を吸収し、焼け死んでしまう。それを防ぐためにと、魔道士が作ってくれたものだった。

極々簡素なもので、最初のものは僅か三日でボロボロになってしまったが、魔道士は各地で木の実入れの袋などを手に入れる度、それらをばらして何度も新しいものを作ってくれた。今朝も目覚めたとき、コガラシの枕元には、昨日の袋で作ってもらった新しい服が置かれていた。

自分のマントは既に埃だらけなのに、ワシのことはどうでもいい、何よりおヌシを大事にしたいのだと言って・・・。それが尚更、仕事を必ず全うしようという彼の決意を更に強くするのだった。“ドゲチックのおんがえし”にも見紛う、立派な献身的姿勢である。

それにしても、なんとこの砂漠は広いのだろうか。魔道士もこの間、「噂には聞いていたが、これほどまでとは思わなかった」と語っていた。

ふと、ひょっとしたらこの砂漠には終わりが無いのではないか、という思いがコガラシの脳裏に湧き上がった。自分もある噂を耳にしたことがある。砂漠というものは現在、広がっているのだと。それも、都会に住むポケモンたちが次々に森の木を伐採したり、野生のポケモンが増えすぎて貴重な草木を食い荒らしたりしているのが原因となって・・・。

考えれば恐ろしくてならない話だった。自分の故郷へも、都会から森林を伐採しに来る者らがいた。彼らは、切りすぎてはいないだろうか。もしかしたら既に何も無くなってしまっていて、この砂漠に飲み込まれていやしないか、とも思った。

・・・いや、そんな筈は無い。そうなる前に、我が魔道士様がなんとか手を打って下さる筈だ。或いは、今こそ、それを防ぐための働きを今行なっていらっしゃるのかもしれない。それならば尚のこと。自分は仕事を果たさねば。コガラシは大きな決意を胸に抱き、少し空を飛ぶスピードを上げようとした。

と、その筈が次の瞬間、逆に、羽ばたくのを止めてしまった。その理由は、眼下に何か光るものを見つけたのである。光り物に目が無いヤミカラスは、急に我を忘れたように、その元へと降下していた。さっきの決意はどこへやら・・・。

しかし地面に降り立ち、その光り物の正体を知った瞬間、彼は何だかガッカリしてしまった。鉄でできた、盾のようなものである。きっと戦争に敗れた兵士が落としたものだろうが、盾なんて自分には重くて、手に入れようがないではないか。

が、見つけたものはそれだけではなかった。傍の地面から、何か鋭いものがにょきっと突き出していたのである。それは最初、刺のようにも見えたのだが・・・。

「違う、これは・・・手!?」

そう、鋭く長い爪が生えた、何かのポケモンの手が、地面から突き出しているのであった。恐らくこれも、その兵士のものだろう。

しかしこれは、切り落とされたのか?それとも、体はこの下に埋まっているのであろうか・・・。コガラシはそれが気になって、何だか真相を確かめたくなった。恐怖よりも好奇心の方が勝ったのである。そうと決まれば、彼は嘴を使って、地面を掘り始めていた。

砂漠の砂は柔らかい。すぐに手の付け根が現れた。そして、鉄の鎧の付いた胴体も。また、そのポケモンの正体もすぐにわかった。背中から生える沢山の刺が見えたからだ。サンドパンだ。

昨日、ンゲとの戦いに敗れた兵士たちもサンドパンだったが・・・やつらの仲間だろうか?だとすれば、なぜ一匹だけでこんなところに埋まっているのだろう。もう既に、ブニャット王国の兵士らによって捕らえられ、全員捕虜にされたのではなかったのか。

それとも、一匹だけで何とかかんとか、ここまで逃げ伸びてきたのだろうか・・・。

と、次の瞬間。急に目の前のサンドパンの手が動き、コガラシを襲った。ギャッという鋭い悲鳴を上げながらも、コガラシはなんとか、すんでのところでそれをかわす。まさか、生きているとは思わなかった。

コガラシはすぐさまそのサンドパンの傍から飛びのき、身構えた。が、サンドパンはまだ半分体を地面に埋めたまま、ピクリとも動かなかった。やはり、瀕死の状態であることは間違い無いらしい。

コガラシは戦意を鎮め、サンドパンの元へと近付いた。その体は死んだようにぐったりとしてはいたが、目はうっすらと開き、閉じ、また開き・・・を繰り返していた。

「・・・助けてほしいんでござんすか?」

コガラシは訊ねる。何となく、そんな気がしたからだ。サンドパンは、しかし何も言わなかった。何も言いはしなかったが、ただ目の開閉は続けていた。

「・・・あなたの、名前は?」

再び訊ねる。何がしかの情報が欲しかった。するとサンドパンは、やはり何も喋りはしなかったが、ゆっくりと手を動かし、傍に転がっている鉄の盾を指した。

コガラシはそれを、よく調べてみた。裏に、何かの文字が彫られているのを発見した。それが恐らく、兵士の名なのだろう。だが、それを読み取ると、コガラシはぎょっとした。

「“SAD06”・・・」

まるで名前とは思えない。ただの番号ではないか。

そうか。コガラシはすぐに察した。このサンドパンが属していた国では、兵士はただ戦闘するためのマシン・・・名前も、このようにただ番号だけで表されるに留まっていたのだ。何と気の毒なことか。コガラシは思った。

自分の慕う魔道士ンゲは、嘗て、彼に名前というものの大切さを教えてくれた。全てのものに名前がある。名前というものが、世界を世界たらしめているのだ、と。そして元々名前の無かった彼に“コガラシ”という名を与えてくれたのも、ンゲだった。

しかしこのサンドパンのように、ただの番号を名として与えられたとしたらどうだろう。まるでその存在を、炎のように赤々と燃える力強い命の一つを、大勢のうちのたった一つ、そこらじゅうに転がった石ころの一つとして数え上げているようなものではないか。かの国は、名前というものをどれ程蔑んで見ていたのだろうか。それを思えば、コガラシは吐き気すら覚えるほどだった。

と、そのとき。サンドパン“SAD06”は、伸ばしていた手をぐったりと下に下ろしてしまった。開閉を続けていた目も、閉じたまま動かなくなった。慌てて近付いてみる。なんと、息をしていない。

早く何とかして助けなければ、手遅れになってしまう。かといって、どうすべきか。身長僅か0.5mで体重2.1kgのちっぽけな自分に、1.0m・29.5kgのサンドパンを掴んで飛んでいくことなど、到底できそうには思えない。このまま、見殺しにするしかないのだろうか。

コガラシは今、この砂漠に訪れて初めて、絶望というものを味わっていた。太陽は今、砂漠の丁度真上に位置していた。それはコガラシたちの行く末を照らすようで、恐らく何も知りはしないのだろう。

太陽にはただ、彼らを見守ることしかできないのであった。

>>第四話
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