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Pokemon QuestⅡ:砂漠の魔獣~The Great Sunshine~④ 【2007/12/18 00:00】
第四話:行商
>>はじめから >>前回の話

コガラシが瀕死のサンドパンを目の前に、あれこれ思いを巡らせていたとき。前方からなにやら巨大な影が、のそのそと近付いてきていた。バクーダだ。

「おーい、そないなところで何してんねん、お前らー」

聞こえた声はその大きな体に似つかわしくない、甲高くて小さな声だった。

いや、その声の主はバクーダではない。よく見るとバクーダの首の後ろの辺りに鞍が付いており、そこに小さなポケモンが乗っている。ニャースだ。そのニャースが、声を発したのだった。

ニャースは、頭にターバンのような布を巻き、体に赤いチョッキを身につけている。何とも奇妙な姿だが、もしかしてこれが、以前ンゲが教えてくれた“行商”というやつだろうか。

しかし、今はそんなことどうでもよかった。相手の身分云々を問う前に、コガラシはこう叫んでいた。

「お願いでござんす、助けておくんなせぇ!ここに、瀕死の兵士がいるんでござんす!」

ニャースはその台詞にキョトンとしたが、すぐに目の前で体が半分埋まっているサンドパンの姿を認めると、こう言った。

「・・・そいつ、昨日滅ぼされたサンドパン王国の兵士やないんか?そんなん助けて、どないするつもりや」

その台詞に、コガラシはハッとした。よく考えてもみれば確かに、コガラシにこんな兵士を助けてやる義理は何も無い筈だった。

けれどまだ、何とか生きているのである。それも、あの戦場からなんとかここまで逃げ延びてきて。その命をこんなところで失わせるのは、あまりにも不憫だと思ったのだった。

それが同情心というものだと、コガラシはまだ知らなかったのだが。

「お願いでござんす!」

再び、コガラシは頼みを乞うた。このちっぽけなヤミカラスには、他にどうすることもできなかった。

「・・・わかったわかった、ほんなら、ちょっと待っときいや」

と、幸運なことに、ニャースは頼みを聞き入れることにしたようだ。鞍の付いたバクーダの背中からひょいと飛び降りると、サンドパンの前に進み出た。

「・・・あかん、息してへんな」

行商は兵士の口の辺りに耳を近づけると、そう言った。その台詞は、冷静さを欠いてはいなかった。彼は、まだ半分地面に埋まったままの兵士の前までバクーダを呼ぶと、こう命じた。

「“ロシナンテ”、こいつの片手を口に銜えて、体を全部地面から引きずりだすんや」

バクーダのロシナンテは一声バウッと唸ると、素直にそれに従った。兵士の体は、いとも簡単にすっぽりと地面から抜けた。そして、仰向けになって横たわった彼の体から鎧を脱がすと、裸になったその胸に、ニャースは耳を近づける。どうやら鼓動を聞いているらしいことは、コガラシにもわかった。

しかし、その後の行動にコガラシは驚いた。行商は突然、兵士の胸を、上からパーにした手で圧迫し出したのである。

「ちょ、ちょっと!瀕死の相手に向かって、何するんでござんすか!?」

「はぁ?何って・・・心臓マッサージしとんねん」

マッサージ?自分が飛び疲れて翼が痛む時などに、よく魔道士が付け根の辺りを揉み解し、痛みを和らげてくれたものだが、それと同じ行為だろうか。とてもそうは思えなかったが、そもそも心臓なんてものは、体の外から揉むことなどできない。勝手が違うのだろうと、コガラシは解釈することにした。

けれども、そのあと再び兵士の顔に耳を近づけて呼吸の有無を確認したニャースは、次にあろうことか、その口に自分の口を合わせたのだった。

「こ、今度はオス同士で接吻でござんすか!?」

「・・・ちょっ、黙らんかい!うっとうしいがな!」

・・・怒られてしまった。

と、その横でバクーダが、この無知なヤミカラスにぼそっと耳打ちした。

「これはポケモン工呼吸(ぽけもんこうこきゅう)というやつだ。息をしていないサンドパンに、口移しで空気を送っているのだ」

更に、こう付け加えた。

「それに、私の主人はオスではない。メスだ」

それが、今までで一番驚いた。雰囲気から何となく、ニャースがオスであると決め付けかかっていたのだが・・・。

その様子を見て、ロシナンテはふふふと笑う。

「まぁ、そう驚くな。ニャースは、外見的にはオスもメスも一緒だからな。私も、本人に聞くまで確信が持てなかったのだ・・・まぁ、メスだとは思っていたがな」

どうやら、コガラシの知らないことは、世の中にまだ色々あるらしい。

「・・・ところで、あなたはオスでござんすか、それともメスでござんすか?」

と、ついでに訊ねておく。すると、ロシナンテの顔にはみるみる険しくなっていき、火山の噴火口のように高く突き出た背中のコブからは、煙のようなものが噴出し始めた。・・・どうやら、マズイことになったようだ。

「・・・私の、この立派なコブが目に入らないのか?ヤミカラスよ・・・」

「あ、あわわわ・・・そ、そうでござんすよね。その雄雄しさは、オスでござんすよね!」

かつてないほどの危機をその身に感じ、慌てて言い繕うコガラシ。その結果は・・・。

「たわけっ!コブが高い方がメスだ!」

遂にロシナンテが大きく体を震わせ、コブからはマグマを激しく噴出する直前の、恐ろしげな音が響き始めた。万事休す・・・!

・・・かと思いきや。

ゴツン!

その直後、砂漠に響き渡った乾いた音が、一瞬にして全ての騒ぎを鎮めてしまった。

ついでにもう一つ。

ばこん!

「やかましいわ、お前ら!こちとら瀕死の患者抱えてんねんから、静かにせんかい!」

ロシナンテの頭には、三つ目のコブが。そして、コガラシの頭には、四つ目のトサカが出来ていた。

乙女は強し。今回コガラシが学んだ一番大切なことは、それだったろう・・・。

>>第五話
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