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Pokemon QuestⅡ:砂漠の魔獣~The Great Sunshine~⑤ 【2007/12/19 00:00】
第五話:道を阻む者たち
>>はじめから >>前回の話

行商ニャースの見事な処置により、瀕死のサンドパン“SAD06”は息を吹き返した。その直前、彼は激しく咳き込み、口から沢山の砂粒を吐いた。どうやら、それが気管に詰まっていたことが、息ができなくなったことの原因らしかった。

「じめんタイプ」のくせに砂にやられるとは、情け無いやつ。そう言ってニャースは笑ったが、彼女も兵士が一命を取り留めたことを喜んでいるようだった。

兵士は、しかしその後も目を覚ます様子はなく、依然として苦しんだ顔をしていた。体に目立った外傷があるわけではなかったが、これまでの戦いにおける疲労が、まだその身に重くのしかかっているのだろう。

するとニャースは、こんな提案をした。

「しょうがないな、ワイらが病院まで運んでったるわ。ロシナンテのコブの間に、こいつ乗せたったらええ」

彼女のその台詞に、コガラシは改めて感激せずにはいられなかった。なんと優しい行商だろう、まるで魔道士ンゲのようだ・・・と。

・・・ただ、さっきみたいに少々乱暴な部分もあるのが玉にキズだが。

しかしこのどこまでも広がる砂漠、近くに病院などあるのだろうか。訊ねると、彼女はコガラシの後方を指差した。それは、兵士を見つける前にコガラシが向かおうとしていた、未知の方向だ。

「このすぐ先に、王国があるんや。でっかいオアシスの都やで~。この砂漠一と言うても過言やないやろうな。ワイも丁度、今からそこに商品を送りに行く用事があってな・・・」

それを聞き、コガラシはまるで体に電撃が走るような感覚を味わった。

胸の鼓動が、ドクンドクンと耳にまで届く。なぜ自分はこんなに興奮しているのだろう。

何となく、彼は感じたのだ。ニャ-スの言うその王国が、これまで見てきたどの国よりも一番、重要なものであることを。もしかしたらそこが、ンゲが言っていた“目的の場所”なのではあるまいかと・・・。

「あっしも、付いていってようござんすか!?」

つい先程、兵士の助けを請うた時の勢いで、コガラシは言った。それに驚いた顔をしてニャースは、

「べ、別にええけど、その代わり・・・」

「その代わり、何でござんすか!?あっし、何でもするでござんすよ!」

コガラシの勢いに押されて、ニャースは何度かパクパクと口を動かしたが、慌ててごくんと唾を飲み込むと、こう言った。

「・・・いや、ただロシナンテの背中、積み荷もあるし、定員オーバーやから・・・お前だけ自分の足で付いて来るんやでって、言おう思うただけや」

・・・。

急に顔を真っ赤にしてしまうコガラシ。ヘンに勢いづいてしまったことを、何やら恥ずかしく思ってしまったであった・・・。

かくして、ヤミカラス、サンドパン、ニャース、バクーダの、1羽と2匹と1頭の旅は始まったのである。


「キホーテさん、王国へは、あとどれくらいで着くんでござんすか?」

バクーダの進行を空から追いかけながら、コガラシは訊ねた。“キホーテ”というのは、行商ニャースの名だ。

「そうやなぁ・・・ワイも実は、行くのこれが初めてなんやけど・・・」

名前も何となくオスっぽい感じのする、このメスのニャースは、気さくに何でも答えた。その行商独特の訛りのある言葉は、度々コガラシの心を和ませた。

「初めてって・・・さっき、“でっかい国やで”って、自分の故郷のように語ってたじゃあござんせんか」

「ハハハ、そいつは同業者からのウケウリってやつや。“ペラップのオウムがえし”とも言うけど」

それにしてもキホーテの話には、心躍らされた。林立する木々、街の真ん中には巨大な噴水があり、色とりどりの屋根を持つ建物が軒を連ねる。そして国を統治する王の城は、豪華絢爛という言葉が正に相応しく、まるで一つの巨大な宝石のようなのだという。この不毛の砂漠の中に、果たしてそんな国が実在するのだろうか。

「まぁ、もう数分歩いたら、ってとこやろう思うけどな・・・って、コガラシ、じぶん空から見えんねんから、なんか前方にあるの、わからへんか?」

と、さっきの質問に答えると共に、キホーテは訊ねる。しかしそれに対するコガラシの返答は、Yesではなかった。

「それが、さっきから視界が悪くなってるんでござんすが・・・なにやら霧が出てきたようで」

「霧?あほか!砂漠に霧なんか出るわけないやろ!ホンマに何も知らんのやなぁ・・・」

「・・・じゃあ、何なんでござんすか?アレは・・・」

「おう、アレはな、霧やなくて砂嵐ってやつや・・・って、えーっっっっっっ!!!!!」

突然叫ぶキホーテ。今初めて、事の大変さを知ったようである。

「・・・ど、どうしたんでござんすか!?」

「あかん、あかんて!あれに巻き込まれたら、大変なことになる!砂嵐や!わからんのんかぁ!?」

砂嵐・・・そう言われれば、聞いたことのある言葉だ。砂漠の中で急な突風が起こり、サラサラした地面の砂粒を空に巻き上げるのだという。それに巻き込まれれば、視界が悪くなる、目に砂が入る、喉が痛くなる、などと様々に不都合なことになるらしい・・・いや、キホーテの慌て様と、実際の砂嵐を見れば、それどころの話ではないように思えてきた。とにかく、逃げなければマズそうだ。

が、そう思った時には既に手遅れである。

「・・・グワッ!」

コガラシの体は、その悲鳴ごと荒れ狂う砂嵐の中に飲み込まれていた。物凄い勢いだ。嵐の中では、彼の体はたった一枚の羽となんら変らなかった。右へ、左へ、そして一気に上昇、一気に下降を繰り返す。コガラシは、まるで自分の体が赤ん坊に操られるおもちゃになってしまったような気分を味わった。

そして、やがて飽きて捨てられたように、ポイと砂漠の地面に叩きつけられたのだった。

「コガラシ!こっちや!ロシナンテの下に隠れるんや!」

柔らかい地面に突っ込んで、体が半分埋まってしまったコガラシだったが、嵐の中微かに聞こえるキホーテの声を何とか聞き取ると、声が聞こえた方向まで、どうにかこうにか這うようにして向かっていった。

バクーダのロシナンテは、思いのほかすぐ傍にいた。彼女の体の下まで逃げ延びると、そこまで嵐の勢いが届くことはなかった。

「ロシナンテは“じめんタイプ”。コイツの影に隠れていれば、ワイらは安心や」

隣にいたキホーテが言った。しかしその表情は、自分らが無事であったにも関わらず、どことなく暗い。

「・・・ご主人、品物には大事無かったか?」

と、上からロシナンテが声をかける。それにキホーテは、積み荷以外で抱えていた荷袋の中身を見ながら、力なくこう答えた。

「・・・ああ、なんとか。必死で守ったからな・・・吹き飛ばされずに済んだわ」

荷物も無事らしい。だったら、一体が不安なのだろう。

と、コガラシは仲間が一匹足りないことに気付いた。

「・・・サンドパンさんはどうしたんでござんすか!?」

その台詞にキホーテは、項垂れてこう答える。

「・・・それが、どっかに落としてきてしもうたようで・・・」

それを聞き、コガラシの表情は憤然となった。落としてきた?この、荒れ狂う砂嵐の中で!?

「た、助けようとは思うたんや!・・・せやけどその前から、既にどこにも姿があらへんで・・・」

「そんな!あなたが、荷物ばかり必死に守っていたのが原因でござんしょ!?」

「・・・コガラシ、主人を責めるな!」

と、ロシナンテが主人に代わって弁解する。

「品物は、行商にとって命の次に大事なもの・・・主人はただ、行商として当たり前のものを守っただけだ」

・・・命の次に大事?ならば、名も無き兵士サンドパンの命は、命として認められないというのだろうか・・・。コガラシは再びそうやって行商に食って掛かろうとしたが、何とか思いとどまった。所詮、自分たちはただの「ついで」だ。それまで守る責務は、彼女たちには無い。

「・・・それに一応言っておくが、あの兵士も“じめんタイプ”・・・きっと、この嵐でも平気な筈だ」

ロシナンテのその言葉が気休めにしかならないことは、下の二人には気付いていた。先程喉に砂を詰まらせて窒息していた兵士が、平気なものか。もはや笑い話では済まされなかった。

「・・・あっし、探してくるでござんす!」

出し抜けに、コガラシが言う。キホーテは目をドーミラーのように丸くし、項垂れていた顔を彼へと向けて叫んだ。

「あかん、あかんて!コガラシまでこの中で行方不明になったら、どないすんねや!」

・・・確かに、そうなる可能性は大だ。先程いとも簡単に吹き飛ばされたばかりである。けれども、このまま黙って見捨てるわけにもいかない。だったら、どうすればいいのだろう・・・。

この板ばさみの状況に、コガラシは顔を険しく歪ませた。砂嵐はそんな彼をあざ笑うかのように、勢いよく吹きすさぶ。悪魔のような自然災害だ。

そして、彼らに降りかかる災厄は、それだけではなかったのである。

グオオォォォォォォ・・・。

恐ろしい獣の咆哮のような音が、嵐の中から響き渡った。それも、一つではない。まるでお互いを呼び合うかのように、何度も何度も響く・・・。

「な、何でござんすか、これは・・・」

コガラシがそう訊ねるも、キホーテは既に殆ど正気を失ったような顔をして、わなわなと体を震わせていた。

しかし何とか絞り出すような声で、彼女は今の状況を答えたのであった。

「・・・あかん、あかんて!カバルドンの群れや!ワイら、カバルドンの群れに囲まれたんや!」

>>第六話
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