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Pokemon QuestⅡ:砂漠の魔獣~The Great Sunshine~⑨ 【2007/12/23 00:00】
第九話:地底湖
>>はじめから >>前回の話

すっかり日も落ちて暗くなった頃、コガラシの一行はようやく目的の王国へ続く跳ね橋の前へと辿り着いた。

跳ね橋・・・そう、砂漠の中にあるのに何とも奇妙なことと思われるやもしれぬが、城壁で高く守られた王国の周りはぐるりと堀で囲まれており、そして堀の中は充分な水で満たされていたのだった。

「・・・こら、驚いたわ。砂漠一のオアシスやとは聞いとったが・・・こないに水を持て余しとるとは」

「それに、今までずっと砂漠だったのに、こんなふうに突然オアシスとは・・・何だか不自然極まりないようにも思えるな」

ロシナンテの言う通り、ここの地面はさっきまでとは違い、苔むした土へと変っていた。なのに振り返れば、30メートルほど手前はもう柔らかい砂の砂漠が広がっているのである。布に広がりかけた染みが、途中で切り取られでもしたかのようだ。しかし切り取られたのは、砂漠の方であったろうか、それともオアシスの方であったのだろうか。

「・・・それより、吊り橋が上がってるでござんすねぇ・・・」

と、コガラシが自分だけ現実的なことを言った。それに対し、キホーテたちはハァ~と長く大きな溜息をついた。

「・・・だから主人、私はあそこで野宿しようといったのだ!結果、同じだったではないか!」

「だぁっ、うるさいなぁ、ロシナンテ!同じ野宿や言うても、あっちですんのとこっちですんのとでは違うやろ!こっちは水もあるようやし・・・」

「そんな問題ではない!・・・ホラ、私の蹄を見ないか!歩き通しで擦り切れすぎて、もうボロボロ・・・」

「それこそ、あっちで休んどっても同じやったやろう!」

・・・い、意外に仲悪かったんでござんすね、この二匹・・・。女どもの言い争いを見て、冷や汗するコガラシだった。

「・・・け、けどお二方、あっしがあの城壁を飛び越えて、中の門番さんに吊橋を降ろしてもらうよう頼むってのはどうでござんしょうか?」

仲間割れを止めるついで、コガラシはそんな提案をするも、キホーテはいい返事を返さなかった。

「・・・あんのなぁ~、それができたらわざわざこんなんやって国守る意味無いやろ?もしあの城壁に向かって飛んでいったら、じぶんどないなるか、ちょい見てみぃ」

そう言って地面に落ちていた小石を拾うと、それを思いっきり城壁へ投げつけるキホーテ。すると、なんということか小石が堀の上を舞った瞬間、堀から突然水が噴出してきて、小石を弾いたのだった。

「・・・な、なんかいるんでござんすかっ、水の中に!?」

「・・・そういうワケや。ま、こんだけの水あんのやから、中に何かいる思うた方が自然いうこっちゃ。・・・よかったなぁ、コガラシ。先に知っとって」

・・・た、確かに。危うくイタイ目を見るところであった。

しかし、折角ここまで来て野宿というのは何ともやるせない。ロシナンテの背中の上で寝ているサンドパンも、大事無いとはいえ、負傷者は負傷者。早いところ病院へ連れて行きたいものだ。・・・何処からか、入れないものだろうか。

一方で、キホーテたちはもう寝る準備に入っていた。ロシナンテの温かい体をテント代わりにして、さっさとお腹の下に潜り込むキホーテ。機敏である。

「おーい、コガラシも早う入らんかい!」

彼女が呼ぶ間も、コガラシはまだ城壁を見つめていた。ロシナンテなんぞは、もう寝息を立てているのに・・・。

と、そのとき何かがコガラシの背後からぶつかってきた。驚いて振り向くと、そこにはひっくり返って足をバタつかせる丸い生き物がいた。その体は、土色とでも言うべき色で、所々緑色の斑点のようなものがある。

「・・・キノココ?」

そう、自分が嘗て住んでいた森の中にも生息していたポケモンだから、すぐに気付いた。しかし、そんな森のポケモンがなぜこんな砂漠にいるのか?

「・・・お、起こしてっ、起こしてよぅっ!」

そう言われて、コガラシは慌ててそのキノココを起こしてやる。キノココには手が無いので、ひっくり返ると自分で起き上がるのが困難なのだ。

「・・・コガラシ、じぶんまた何見つけたん?」

気付くと、キホーテも彼らの傍まで来ていた。彼女もこの砂漠に似つかわしくないポケモンを見て、怪訝な顔をする。

「・・・なんやお前、どっから来たん?」

当然の質問に、しかしキノココは答える代わりにこう言った。

「・・・し、知らないポケモンとは喋っちゃいけないって、お姉ちゃんが・・・」

「・・・ほぅ、お利口なボウヤやなぁ」

・・・と、キホーテはチョッキのポケットから何かを取り出した。キャンディだ。それを見るとキノココは、とたんに目を輝かせる。

「・・・質問に答えてくれたら、これあげたろーと思ったんやけどなぁ・・・」

・・・子どもをからかうなんて。呆れたコガラシは、すぐ止めさせようとしたが、先にキノココの方がキホーテに飛びついてしまった。それが意外な力で、バタンと押し倒されるキホーテ。

「こ、答えるよ!ボク、レダっていうんだ!そこの王国から出てきてて、今から帰るところなの!」

「わ、わかったから、ワイの体からどけや!」

そう呻くキホーテを他所に、コガラシはこのキノココ、レダが言った重要な言葉を聞き逃しはしなかった。

そこの王国から出てきた・・・ならばこの王国は、キノココが住めるほど水が豊かだということなのだろう。それも驚くべきだが、より重要なのは後の方。今から帰るところだと、レダは言った。つまり、帰れる道があるということだ。

「ホントでござんすか!?レダさん、あっしらににも教えてください、その帰る道というのを!」

しかしそのコガラシの台詞に、怯えたような顔をするレダ。

「・・・し、知らないポケモンに秘密の地下通路を教えちゃいけないって、お姉ちゃんが・・・」

「・・・残念やなぁ、あめ玉もう一個やろうと思うたんになぁ・・・」

「教えるっ!教えるからちょーだいっ!」

・・・なんという買収。コガラシは少し良心が咎められる思いだったが、この際成り行きに任せようと思った。

そう言えば、魔道士も教えてくれたものだ。世の中には縁というものがあると。人生、どんなところにチャンスが転がっているやもわからぬのだ。もしかしたらいい結果になるかもしれない、そう思ったら思い切って飛び込んでみるのも、一つの決断だと・・・。まぁ、初めて聞いたときには、あの冷静な魔道士らしからぬ発言だとも思えたが。

それにしても・・・。コガラシは思った。キホーテには、なんと買収する行為が似合っているのか、と。

ひょっとしたら行商ではなく、本当はどこぞの悪党だったりするんではないかと、本気で思うコガラシであった・・・。


キノココのレダが案内する地下通路を歩きながら、コガラシは辺りを忙しなくきょろきょろ見回っていた。一体なんなのだ、この地下通路は。城の周りに川のような広い堀が流れていたことにも驚かされたが、まるで洞窟のように広いこの地下通路には、道の横にこれまた広い湖のようなものが広がっている。これほどの地下水が砂漠の下にあるとは驚きだった。

一方で、その後ろからのそのそ付いてくるロシナンテは、折角寝ていたところを無理矢理起こされ、湿気の多い道を歩かされているのがかなり不愉快な様子・・・地底湖など何の興味も沸かない様子だ。

「・・・ところでボウヤ、こないな夜中に、あそこで何しとったんや?」

と、そんな不機嫌なバクーダの上に乗っているキホーテが、先頭に立ってちょこちょこ歩いているレダに訊ねる。

「エヘヘッ、ヒミツだよ、ヒミツ!」

と、なにやら愉しそうにレダは言う。いちいちヒミツの多いコだ。また飴で買収したろーか、そうも思ったが、別に大して興味も無いことだったのでやめておいた。どうせ、良からぬイタズラでもしていたのだろう。

・・・それにしても。さっき貰った飴がよほど嬉しかったのか、レダはさっきから嬉しそうにスキップしながら歩いている。そのうちまた何度かコケそうになって、その度に、すぐ後ろを歩くコガラシに支えられている。全く、子どもというのは見ていて危なっかしいな・・・。そう思ったのはロシナンテである。彼女もメスとして、母性本能をくすぐられるものがあるだろう。

「おニイちゃんたちこそ、どうしてこの国に来たの?」

と、今度はレダが訊ねる番であった。「おニイちゃんたち」・・・やはり最初のコガラシ同様、勘違いしているのだろう。そして、まさか自分もオスだと思われていやしないかと、ロシナンテはまたむっとした表情に戻った。

キホーテは勘違いされたことをさして気にもしなかったが、答えた台詞はこうだった。

「・・・ワイらもお前のこと知らんのに、なして答えなあかんねん?」

彼女のちょっとしたイジワルに、レダは振り返って驚いたような顔をしてみせる。全く、大人げない・・・コガラシは呆れたが、その後のレダの反応は興味深いものだった。

「・・・ふーん、答えられないってことは、なんか悪いコトしに来たってこと?」

「・・・あ、あほう!んなわけあるかいな!」

・・・子どもだと見くびっていたら、妙な理屈を言うものである。当然否定したわけだが、レダは立ち止まって、面白そうにこちらを見ている・・・。これだから子どもは。完全に、キホーテの負けであった。

「べ、別にボウヤが考えとるような面白いことはあらへんで?ワイと、このバクーダのロシナンテは、旅の行商。今からこの国に品物を送る用事やったんや。それから、そこのヤミカラスのコガラシと、後ろで寝とるサンドパンは、ただの連れや。特にサンドパンの方には、ちょい怪我があんねん。それで、病院連れてったろうと思うて・・・」

「えーっ、怪我しちゃってるの!?ボクはてっきり、ただのお寝坊さんで、眠ってるだけなのかと思ったよ!」

・・・その言葉に、コガラシとキホーテの二匹はプッと噴出してしまった。なかなか素直なことを言うコである。まぁ、半分は間違っちゃいない。

「・・・でも、良かったねー、おニイちゃんたち。そしたら、丁度これからボクら、レオナお姉ちゃんのところに向かってるところだから、レオナお姉ちゃんに治療してもらったらいいよ!」

「・・・あのなー、お前・・・気持ちは嬉しいが、いくら姉ちゃんでもそない簡単に治療できるわけ・・・」

と、キホーテが言うと、レダは突然、怒ったように顔をぷうっと膨らませて言った。

「できるもん!だって、レオナお姉ちゃんお医者さんなんだよ!とっても優しいお医者さんだよ!」

・・・なんと。それは願っても無いことだった。やはりンゲの言葉は正しかった、これはチャンスだったのだと、コガラシは確信した。

「・・・はっ、しまった!早く帰らないと・・・レオナお姉ちゃんに怒られちゃう!」

と、レダは再び前を向いて歩き出した。ママではなく、お姉ちゃんに怒られるのが心配なのだろうか。それがちょっと不思議でもあったが、いい偶然に巡り合えて、コガラシらも一層足が軽くなった。だんだんと、道も上向きになっていく。出口は、もうそろそろなのだろうか。

と、そう思った矢先のことである。

・・・ウオォォォォォォォォ・・・。

「・・・んっ、今何か変な音聴こえなかったでござんすか?」

「・・・はぁ?ロシナンテの腹の音ちゃうか?」

「・・・し、失礼な!」

と、また。

ウオオォォォォォォォォォォォォッ!!!

急に、地底湖が激しく波打ち始める。音は、水の中からだ。

ザッパーン!

大きな音を立てて、水の中からなにやら巨大な生き物が姿を現した。その高さたるや、身長2メートル近いバクーダをも優に凌いでいる。それは、体が真っ赤で、まるで噴射口のような形の口を持つポケモンであった。

「・・・オ、オクタン!?」

「・・・ええっ、オクタンってこんなに大きかったんでござんすかっ!?」

コガラシの記憶が確かならば、オクタンは90センチほどの高さしかないとンゲは言っていた。まさか、あの魔道士がウソを教える筈は無い。しかし目の前の現実をどう受け止めていいものやら、コガラシにはさっぱりわからなかった。

「・・・だ、大オクタンだよっ!この地底湖の守り神なの・・・普段は奥底で眠っていて、殆ど水面に出てくることはないのに・・・」

「・・・じゃあ、なして今になって出てきたんやぁ!?」

そんなもの、レダにも答えられるわけがなかった。とにかく、身長3メートル程もあろうかという大オクタンは、怒っているかのようにコガラシらを睨みつけ、噴射口で狙いを定めている。・・・あのカバルドンの群れに出くわしたときと同じく、友好的でないことは確かのようだ。

「い、急いで逃げるんや!」

キホーテの声で、ロシナンテは慌てて駆け出した。幸い、道は一本。一気に坂を駆け上がれば、何とか逃げ切れる筈である。コガラシも、レダを足で掴んでバッと飛び上がった。

大オクタンは次々に“オクタンほう”を発射する。その威力たるや、地下通路の壁にも大きく穴を穿つほど。当たれば無事では済まされまい。逃げる、逃げる!もはやロシナンテは、さっきまで不機嫌だったことなど完全に忘れてしまっていた。ただ走るのみである。

と、急に背中が軽くなったのを感じた。構うことなく進もうとしたところで、主人に呼び止められる。

「アカン!ロシナンテ、戻れ!」

声は頭の後ろではなく、もっと遠くから聞こえた。慌てて振り向くと、何とキホーテは後方の地面の上に倒れている。まさか、鞍から落としてしまったのか!?あってはならないことだ・・・いくら慌てていたとは言え、主人を落としてしまうなんて・・・!

引き返そうとしたが、ふと大オクタンの姿が視界に写って、足が竦んだ。大オクタンは、確実にキホーテに狙いを定めている。

彼女は思った。今から引き返しても、主人はもう助からない。でも自分は、走ればまだ逃げ切れる筈だ。・・・いや、何を馬鹿なことを考えている。いくら乱暴者でも、いくら仲が悪くても、キホーテは私の主人だ。今まで一緒にやってきた仲じゃないか。

けれど、足が動かない。今までキホーテのことを守ってきた自分が、初めて恐怖を感じている。この化け物オクタンからは、守れる筈が無い。

・・・違う、だからこそ、守らねばならないんじゃないのか。それこそが、私の仕事なんだ。動け、私の足!助けるんだ、主人を!

ロシナンテは、足を踏み出した。キホーテに向かって。大切な主人を守るべく、大きく!

だが。

そのとき同時に、大オクタンの口から、砲撃は発射されたのであった。

>>第十話
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