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Pokemon QuestⅢ:砂漠の魔獣2~The Mystic Moonray~⑮ 【2008/03/03 23:14】
第十五話:魔道士の隠里
>>はじめから >>前回の話

「・・・代は去り、代は来る。しかし、地は定めのない時に至るまで立ちつづける。そして、日もまた輝き出、そして日は没した。それは自分の輝き出る場所へ、あえぎながら来るのである・・・」

昼間なのに薄暗い部屋の中から、朗々とした声が響いた。部屋の周りはぐるりと高い本棚で囲まれ、魔道の書やら何やら、むずかしい内容の本でぎっしりと埋め尽くされている。そこで今、一匹のキュウコンが、中でも特に古ぼけた本を読んでいた。

と、固く閉ざされているようにも見えるその部屋の扉が、今、きい、と音を上げて開き、外から若く可愛らしい雌のロコンが顔を覗かせた。

そのロコンの頭には、使用人が付ける様なカチューシャが乗っており、体にもひらひらのついたエプロンのようなものを身につけている。そしてそのロコンは、器用にも後ろの二本の足で立ちながら、前足で紅茶のポットの乗った盆を抱えていた。

「メランクサさま、お紅茶をお持ちしました」

「・・・おぉ、ありがとう、かやめ」

先程の朗々とした声の持ち主はそう言うと、持っていた書物をパタンと閉じた。そして、ロコンが小さなテーブルの上に盆を置き、紅茶をカップに注ぎ終わるのを待つと、上品な手つきでカップを口にもっていき、すうっという音を立てて、それを嗜んだ。

その様子を心配するような目で見守っていたロコンは、主人がカップをテーブルに置くと、おずおずといった感じで尋ねる。

「・・・おっ、おいしゅうございますか?」

すると主人、メランクサは、性別問わず見た者は誰しもうっとりとしてしまうような微笑を顔に浮かべ、とても美味しい、と告げた。

それを聴き、ロコンの顔にも、安堵が生まれる。

「・・・メランクサさま、何をお読みだったのですか?」

安心したついでに、ロコンがそう訊ねると、主人は、さっきの、もう表紙が外れてしまいそうなボロボロの本を取り出し、その題名を彼女に示した。それには、「伝道の書」と書かれていたが、ロコンにとって、それは初めて目にするものだった。

「・・・とても有名な書だよ。世界中、さまざまな言葉に訳され、読まれている書の一つさ。大変ありがたいものとされて、神を信じる多くの者たちにも尊ばれているものだが・・・その内容ときたら、神の存在を真っ向から否定するような、悲観的なものばかりさね」

そして、再びメランクサは、紅茶を啜り、微笑を繰り返すと、こう続ける。

「しかし、そんな内容にこそ、あたしは世の真実を見るね・・・確かに世の中は、不条理なことばかりだよ。戦争は繰り返すし、ポケモンは死んでゆく。そして、土地は荒廃するばかりだ。“なんという空しさ、なんという空しさ、すべては空しい!!”」

そして仰々しく言う主人に、まだキョトンとした顔のままのロコンは、再び尋ねた。

「・・・それではメランクサさま、メランクサさまは、神様の存在を信じていらっしゃらないということでしょうか?」

メランクサは、もう一度フッと笑い、答えた。

「わからない・・・いないかもしれないけれど、もしかしたらいるのかもしれない。世の中には、奇跡という名の感動的な出来事も沢山あるからね・・・でも、どちらにしたって、あたしにとってそれは、特に重要なことじゃあないさ」

そして、手をポンと、ロコンの頭の上に乗せる。

「あたしにとって大事なのは、神が存在するか否かなんかじゃあない。今ここに、かやめ、あんたがあたしの傍にいてくれるということだよ。それだけが、あたしにとっての真実さぁね」

言われて、ロコン、かやめは、頬をぽっと桃色に染めた。彼女には、結局主人が何を言いたかったのかよくわからなかった。いつもこうなのだ、仰々しい話をしかけて、いざ結論を聞こうとすると、いつもこうやって、なんだかはぐらかすようにする。

だけど、かやめは、そんな主人の話が好きだった。なぜなら、こうやって主人から撫でられるのが、彼女は好きだったからだ。

「・・・さて、と。そろそろ支度をしなくちゃあいけないね」

と、本を棚に仕舞い、メランクサは立ち上がった。それに慌てて、かやめは言う。

「お、お待ちください。今、外出用のケープをお持ちいたしますね!」

「いや、いらないよ。ちょっと待ち人を迎えに行くだけのことさ。それより、デイジーはまだ里に帰ってきてないかい?あのコにも用事があるからね、もし帰ってなかったら、誰か遣いを送ってあげなくちゃあ」

言われてかやめは、はいっ、という、元気な返事をした。直ぐに遣いの者を送ります、と。そして、メランクサが出るより先に、彼女は部屋から飛び出した。

「さて、香水、香水と・・・あれ、何処へ置いたかね?かやめ、おい、かやめ、香水は何処かね?」

と、ごそごそと本棚を探しながらメランクサは言ったが、返事は無かった。そのときには既に、家の中から彼女の気配は消えていたのだ。メランクサは、クスッと笑う。

「あらあら、もう出て行っちゃったのかい?全く、元気なコだこと・・・使用人の真似事をさせても、あのコは相変わらずだね」

そして、何とか自力で本棚の隅に置いてあった香水を見つけ出すと、それをシュッと吹きかける。そして部屋の中央に向き直ると、再び笑った。テーブルの上には、かやめの持ってきた紅茶が、片付けられないままそこにある。

「・・・全く、あのコったら!」

仕方が無いので、メランクサは自分で盆を持ち、書庫を出た。そして流し場へ行くと、案の定、そこにも朝食の食器が、まだ洗われないまま放置されていた。全く、これでは使用人をさせる意味が無いではないか。却って、一人で生活する方が楽だと思えるほどだ。

しかし、それらの食器を洗いながら、メランクサの顔は微笑んでいた。彼女はぽつりと、こう呟く。

「“ひとりよりもふたりが良い。共に労苦すれば、その報いは良い”」

それも、先程の「伝道の書」の言葉の一つであった。


広大な砂漠の端の方で、今、キルリアとサーナイトの親子が立っていた。

「・・・また、砂漠が広がっているようね・・・」

母親のサーナイトはそう言って、険しい表情で、目の前に広がる光景を眺めていた。一年前、そこには大きな河が流れていた筈だった。しかし、今やそれも枯れ果て、ひび割れた大地が広がるばかり。そして、そこに生えていた草や木も、今ではすっかり葉を落とし、ただ棒切れとして残るのみとなっている。

サーナイトは、腰に下げていた袋の中から木炭と紙のようなものを取り出して、何やらササッと書き付けた。その傍ら、娘のキルリアは、何かを指差してぼそっと呟く。

「・・・ねぇ、ママ・・・あれ、何?怖い・・・」

そして、母親の足に縋り付く。え?と呟き、母親は仕事の手を休め、再びひび割れた大地に目を向けた。そして自分も、あぁ、という怯えた声を漏らすと、娘にそれ以上見せないよう、手で彼女の顔を覆った。

「・・・ごめんね、パミー。あなたをここに連れてくるべきじゃなかったわ・・・」

そこに転がっていたのは、何やら干からびた白いものであった。それが何であるかは、敢えて教えてあげることではない。

それは、しかしながらいくつもあったわけではない。点々と散らばっていた。嘗てそこに住んでいたポケモンたちの代わりにそれらが出現した筈だが、それにしては数が少ない。他のものは、とうに他所の川へ逃れたのか。はたまた、早々に風化し、砂と化したか・・・。

兎も角、それは死の大地と呼ぶに相応しかった。生きるものの気配がさっぱり消えてしまった、恐るべき土地であった。

「ねぇ、どうして?どうして皆いなくなっちゃったの?元に戻してあげることはできないの?」

涙ながらに訴える娘に、母親はただ暗い顔をしてしまうより他に無い。一流の魔道士と呼ばれるサーナイト、彼女が空に手を翳せば、たちまち雨を降らせることもできるし、また、直ぐに晴れ渡らせることも可能だ。しかしそれらの魔道の力は、ほんの一時的なものに過ぎない。魔道は所詮魔道でしかない。壊れてしまった自然を簡単に復元することなど、どんな魔道士にだって不可能なことだ。

「パミー、それはそう簡単なことじゃあないの。一度変化してしまったものは、なかなか元には戻ってくれない。絶対に戻らないものだってある・・・例えば、死んでしまったポケモンを生き返らせることは、不可能なことよ。だけど・・・だけどね、パミー。こうなってしまった原因を突き止め、これ以上こんな土地が増えないように防ぐことは、きっとできる筈なの。そうすればきっと・・・きっと、またここにもまた水が流れ出し、河のポケモンたちだって帰ってくるわ」

「・・・ほんとう?」

目を潤ませる娘に、母親は力強い表情で頷いてあげることができないのが、とても悔しかった。嘘をついているからではない。自分が今行なっていることは、何も間違ったことではない・・・しかし、100パーセントの自信を持って正しいと言うには、それはあまりに時間が掛かりすぎる、地道な作業なのだ。

「ええ、ほんとうよ」

母は答えた。そして、娘をひしと抱きしめながら、こう付け加えた。

「ほんとうのことよ・・・だけど、私が生きているうちには、叶えられないことかもしれないわ」

「・・・ママも、死んじゃうの?」

最愛の娘を傷つけるわけにはいかない。しかし、甘やかして嘘を教えるほど、彼女はいい加減な母親ではない。にっこりと笑いかけながら、彼女は答えた。しかしその声には、厳しさも込められていた。

「えぇ・・・いずれは私も死ぬわ。例え、ここにいたポケモンたちのような災害に、私たち自身が見舞われることがなかったとしてもね・・・生きとし生ける者は、皆最後には死んでしまうの。哀しいことかもしれないけれど、それが現実というものよ」

その母親の言葉が理解できないほど、娘も幼くはなかった。彼女も、ある程度は予感していることだった。けれど、ただ予感するというのと、目の前に現実として示されるのとではわけが違う。娘のパミーには、今零れてくる涙を押し留めることはできなかった。

そんな娘を見ながら、サーナイトは、腰の袋から小さなポフィンを取り出した。甘い甘い、モモンの実で作ったポフィンだ。彼女は再び優しい笑みを浮かべながら、娘にそれを差し出す。

パミーは、母親の顔を見ながら、それを受け取り、ぱくっと齧った。すると、娘の顔からはたちまち、涙は消えていった。

「おいしい?」

母親が尋ねると、娘は、うん、と元気良く答えた。

「ママの味がする」

そして、娘がそう言うを聞くと、母親は優しく、その頭を撫でてやった。とても慈しんで、優しく、優しく。

「その味を、ずっと覚えておいてね・・・永遠なんてものは何も無いの。だけど、思いだけはきっと、ずっとずっと、永遠に残っていくものだから・・・」

そして、彼女はそう、呟くように言った。その言葉の真意は、娘には理解できないものだった。だけど、娘はポフィンを頬張りながら、また、うん、と答えた。そして、この味をずっと覚えていようと思った。ずっと、ずっと・・・。

と、そのとき、母と娘の後ろから鳥の羽ばたく音が聞こえた。振り返ると、現れたのはエアームドに乗ったエルレイドだ。

「調査の方はどうだ、デイジー」

地に降り立って、そう声をかけてきた彼に、サーナイトは微笑みながら返事をした。

「あら、ジミー。迎えに来てくれたの?」

「あぁ。どうだい、僕もたまには粋な計らいをするだろう?」

と、エアームドから降りて、彼は母と子の元へ近付いてきた。そして娘に、やぁパミーちゃん、美味しそうなポフィンを食べているね、と声をかけたが、娘は残りのポフィンを一気に口の中に放りこんでしまうと、サッと母親の影に身を隠した。

「・・・ごめんなさいね、この子、人見知りなのよ」

「ははっ、構わないさ。こちらこそ、すまなかったね」

エルレイドのジミーは、そう言って苦笑した。

「それよりデイジー、大変なんだ。僕がここへ来る前、長から聞いたんだけど、今日、我らの里に、あの大魔道士様がいらっしゃるようなんだよ」

「・・・ほんとう!?とうとういらっしゃるのね・・・」

サーナイトのデイジーは、そう言って、喜びとも哀しみともとれないような複雑な表情をした。あの大魔道士様がいらっしゃる・・・そう聞けば誰のことを言っているのか、彼女にもすぐにわかることだった。その魔道士自体は、決して悪い存在ではない。寧ろ、以前から是非お会いしたいと思っていた偉大な存在である。しかし、それが自分らの住む里に訪れるということは、決して、肯定的な意味合いを持つことではなかった。

「・・・急いで帰らなければならないわね。ありがとうジミー、教えてくれて」

デイジーのその台詞に、ジミーは微笑みながら、なぁに、当然のことをしたまでだよ、と言った。いかにも自分から報告しに来たかのような言い方であるが、本当は、ただ里の長の遣いに頼まれて来たというだけである。

「じゃあ、デイジー、帰ろうか、一緒に」

再び自分の乗ってきたエアームドの元に戻りながら、ジミーは凛々しい声でデイジーにそう言ったが、

「ありがとう、でも私たち、先にテレポートで帰るわね」

言われて、えっ、と驚いた。

「えっ・・・何?テレポートって・・・その、君たちも、エアームドに乗って来たんじゃ・・・」

言われてみれば、彼女たちの周りには、交通手段になるそうなものは何も無かった。申し訳無さそうに、デイジーは言った。

「ごめんなさい・・・今日は、パミーと一緒だったから、フライゴンの定期便に乗って来たのよ」

フライゴンの定期便・・・それは行商らの乗り回す、飼いならされたフライゴンとは別に、野生で暮らしておりながら、ポケモンたちを運ぶフライゴンの群れのことである。元々は、単に巣から巣へと飛び回っていただけの彼らだったが、その行動範囲は広く、交通手段として丁度良いと多くのポケモンたちに頼られるようになったせいで、いつの間にやら定期便として扱われるようになってしまったのである。今では、砂漠のポケモンたちにとっての便利な交通機関の一つだ。

またそれは、この砂漠のちょっとした観光名物でもあった。

「一度は、この子連れて乗ってみたかったの。どうせ帰りは、テレポートできるし・・・って」

「あ、あはは・・・そうか、なるほどね」

ジミーは相変わらずの笑みを作っていたが、心なしか、その表情は引きつっているようにも思えた。

じゃあ、また後でね。言うと、デイジーとパミーの親子は、一瞬にしてその場からいなくなった。後に残されたジミーは、笑顔を凍りつかせたまま、自分のエアームドに乗った。

そして、はぁあ、と大きな溜息を吐き、表情を一気に暗くする。

「あぁらら、残念だったわね、ジミーぼっちゃん?」

「・・・やめてくれよ、僕をぼっちゃんなんて呼ばないでくれ」

からからから、と、エアームドは金属の擦れるような、乾いた笑い声を上げる。

「じゃあ、情け無い負け犬イヌレイド様かぁね、それとも、下心丸出しのエロレイド様かぁね」

なんだとう、言ったなぁ!と、ジミーはエアームドの頭をカツン、と殴ったが、痛い思いをしたのは、殴った本人の方だった。それに対して、再びからからから、と笑いながら、エアームドは飛び立つ。

「アンタたち魔道士を見てると、ホント面白いわぁ。サイコキネシスで物を操ったり、相手の心を読み取ったり簡単にできちゃうクセに、こういうこととなると、てんで他のポケモンと変わりはしないんだから」

「・・・こういうことって、どういうことだよ?」

「・・・さぁ、どういうことだかね?」

エアームドも、この砂漠における重要な交通手段の一つである。彼らは何と、時速300キロもの速さで空を飛ぶのだ。地を駆けるギャロップよりも、随分早く移動することができる。

しかし、その性格はなかなかキツく、行商のフライゴンのように飼い慣らされている者は数少ない。

「はぁあ、けれどアタシも、あんたみたいなオコチャマをこうやって送り迎えしてあげなきゃならないと思うと、本当、情け無いわ・・・世の中には、お金持ちで、家だって持ってるエアームドがいるって言うのにね・・・」

そして、自分は魔道士に飼い慣らされているこのエアームドも、本心ではそうだった。

「アンタも魔道士だったら、さっきのデイジーちゃんみたいに、ちゃっちゃとテレポート使えばいいじゃないの」

「馬鹿を言うな。お前も知っているだろう、テレポートは交通手段としては、不完全なんだよ・・・」

その通りであった。先程のサーナイト、デイジーは軽々とテレポートで里まで帰っていたが、しかしそのテレポートという技にも、ある制約があった。

それは、テレポート先を、自分の意思だけでは自由に決めることができないということである。テレポートを使うと、どんなに長い距離でも一瞬にして移動することができる。しかし到着する先は決まって、前に一度自分が体を休めた場所になってしまうのだ。

それは、魔道士が体を休めた場所に彼らの思念が残されるからだとされているが、その思念の残る場所というのは、彼らが体を休める度に移ってしてしまうようなのだ。つまり、遠出中にすぐ家へ戻りたい場合は、魔道士は必ず遠出の前は自分の家で休まねばならないし、遠出の途中で眠ってもいけないのであった。

「・・・はぁあ、こんな時に限って、僕ってば、前の晩、他所の国の調査を任されてたからなぁ・・・」

「からからから!全く、アンラッキーな魔道士だこと!」

言われて、再びジミーはエアームドの頭を殴ったが、痛い、と声を上げたのは、やはりジミーの方だった。

黄色い笑い声のエアームドと、緑の体のエルレイド。真昼の砂漠、物凄い速さで帰路を進む彼らは、先程の、砂漠の端にある死の大地からは、もはや既に遠く離れた空を飛んでいた。


ほのおポケモンの王国から出て、一晩と半日ほどの時が経過した。

それまでの時間を、途中岩場で僅かばかりの仮眠を取ったりもしながらも、ただひたすら自分の足だけで歩いていくのは、この老人にとって、決して楽なことではなかった。しかしそうまでして、彼が今、その道を歩く理由は、瀕死のブーバー王から聞いた、大切なあの言葉である。

“・・・これより北へ一晩ほど歩いた先の地で、空に何やら光るもの・・・三日月の化身・・・”

その、三日月の化身の正体を突き止めるため、そして、まだ不完全である予言の書を完全なものにするため、彼はその場所へ向かっていた。

ただ、一つ気がかりなことがあった。あの王国から北へ一晩、その先にあるもう一つのものを、王は言わなかった。ただ知らなかったのかもしれないし、敢えて言わなかったのかもしれない。しかしながら魔道士ンゲには、そこにあるものが何かを知っていた。

魔道士の隠里・・・それは、砂漠の北部中央付近という目だった場所にありながらも、砂漠に住む誰からもその存在を知られないという、奇妙な里である。しかし、砂漠の外に住む魔道士らの間ではその存在は有名であり、その里出身の魔道士も、広く名を知られる者ばかりだ。そして実際足を踏み入れたことのないンゲも、里については彼らから、内部の様子までかなり詳細に聞き及んでいた。

尤も、それが真実かデマかは、自分の目で確かめてみないことには何ともわからない。今まで出会ってきた里出身の魔道士たちの話を疑うわけではないが、それにしても奇妙な存在だからである。しかし実在するならば、きっとこれから先、自分も足を踏み入れ、真相を確かめることになるだろう。

三日月の化身である預言者と、魔道士の隠里・・・その二つに何やら奇妙な因果関係を感じつつも、ンゲは砂漠の中、汚れた厚いマントで身を守りながら、歩を進めていた。

砂漠に足を踏み入れて、11日目の昼頃のこと。三日月の晩は、明日にまで迫っていた。

>>第十六話
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コメント
か、かわ…
かやめちゃん…

かわいい…!!

ええええメイドさん!?メイドさん!?
ケモケモモフモフでフリフリ!?
かわいすぎます!ボエー!

かやめちゃん出して頂いてありがとうございました!
【2008/03/04 19:19】 URL | りり #03RJxdeI[ 編集] | page top↑
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